ついに加藤和彦(Kazuhiko Kato)の追悼企画の真打登場。加藤和彦(Kazuhiko Kato)「バハマ・ベルリン・パリ~加藤和彦ヨーロッパ3部作 (CD3枚付)」
加藤和彦(Kazuhiko Kato)「バハマ・ベルリン・パリ~加藤和彦ヨーロッパ3部作 (CD3枚付)」
(2014年3月)。
大滝詠一(Eiichi Ohtaki)「EACH TIME 30th Anniversary Edition」(2014年3月)と一緒にamazonから到着しましたが、私の関心は当然こちら。
私が高校時代に最も影響を受けたアルバムが「パパ・ヘミングウェイ(Papa Hemingway)」(1979年)、大学時代にやはり愛聴していたのが「うたかたのオペラ (L'opéra fragile)」(1980年)、「ベル・エキセントリック (Belle Excentrique)(1981年)で、そのCD3枚を封入した牧村憲一(Kenichi Makimura)監修の書籍版。
加藤和彦(Kazuhiko Kato)の追悼企画の真打登場、リットー・ミュージック発売の書籍扱いですのでお買い逃しなく。
・You Tube上の、「バハマ・ベルリン・パリ~加藤和彦ヨーロッパ3部作 (CD3枚付)」の紹介映像。
http://www.youtube.com/watch?v=yfe9PtnsNzI
・You Tube上の「パパ・ヘミングウェイ(Papa Hemingway)」4曲目「サン・サルバドール(San Salvador)」のTV番組映像。
http://www.youtube.com/watch?v=LQrt5Cn8FXE
以前に当ブログで、高校生の時に当時のTV「パイオニア・ステレオ音楽館」に加藤和彦御一行が出演したのを見て、いつかこんな大人になりたいと思ったと書きましたが、もしかするとその時の映像の一部かもしれません。
今見てもカッコいいですね。
余談ですが、「パパ・ヘミングウェイ」を聴くお供にお勧めしたいのが、ヘミングウェイのモノへのこだわりに焦点を当てた、今村楯夫 (著)、山口淳 (著) 「お洒落名人 ヘミングウェイの流儀」(単行本:2010年、文庫版:2013年)。
2013年に残念ながら急逝した山口淳の、ライブラリーに所蔵された領収書からモノへのこだわりにアプローチするという手法に、その手があったかと、領収書の分析を日夜繰り広げている税理士の私は目からウロコ。
以前に当ブログで、レコーディング・エンジニアとして晩年の加藤和彦作品に関与していたオノ セイゲン(SEIGEN ONO)がヨーロッパ3部作のリマスター盤を準備中とお伝えしましたが、本盤のリマスタリングはオリジナルのエンジニアである大川正義(Masayoshi Okawa)で、音質も文句無。
過去の再発CDで問題となっていた、佐藤奈々子(Nanako Sato)のコーラスも無事復元。
私が今回聴いて感じたのは、3枚ともに通じる、演奏の上手さとセンスの良さ。
高校時代に心ひかれた加藤和彦・安井かずみのグローバルな世界観はともかく、演奏の上手さとセンスの良さには普遍的なものを感じます。
牧村憲一監修の書籍は、牧村憲一本人、エグゼクティヴ・プロデューサーの折田育造(IkuzoOrita)、エンジニアの大川正義の他、参加ミュージシャンである、小原礼(Rei Ohara)、坂本龍一(Ryuichi Sakamoto)、清水信之(Nobuyuki Shimizu)、高橋幸宏(Yukihiro Takahashi)、松武秀樹(Hideki Matsutake)、矢野顕子(Akiko Yano)のコメントを収録。
なかでも面白かったのは、坂本龍一の「アーティスティックで非常に知的な部分と、黙っていても歌いやすい曲ができてしまうソングライターの部分と、二つの面があった」、清水信之の「最新鋭の機材と優秀なプレイヤーに囲まれて、音楽で最高級の冗談をやりたかったのではないか」という、二人のキーボード・プレイヤー、アレンジャーの的確な指摘。
ただし、残念なのは、リットー・ミュージック発売であることから期待した、同出版社の雑誌の加藤和彦関連記事がたくさん掲載されると思ったら、「サウンド&レコーディング・マガジン2010年3月号」の追悼記事のみ。
個人的には、リットー・ミュージックが昔発行していた「ロッキンF」という雑誌の1978年頃のインタビュー(確かバルバスとおぼしきスーツで決めて刹那的に生きたいと語っていた)の掲載を期待していたのですが(処分してしまったもので)。
「バハマ・ベルリン・パリ~加藤和彦ヨーロッパ3部作 (CD3枚付)」、愛聴させていただきます。
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コメント
どことなく80年代の匂いのする造作のムックですね。奥村靫正のアートワークも、やはりLPサイズに近い大画面で見たほうが映えます。
ミカバンドやフォークルに比して3部作は、今となってはマニアック寄りの位置づけのキャリアですが、才気の成熟度でいえば、私はこのあたりにピークの輝きを感じます。
個人作業でなく人を使った制作でこれほど手間暇かけることは今では難しく、後年の加藤和彦に対する需要からしてミカバンド的スタイルだったんでしょうが、今日の音楽環境で3部作のようなソロを作ったらどうなったのか、聴いてみたかった気もします。
投稿: MYB | 2014年3月22日 (土) 16時56分
MYBさん、コメントありがとうございます。
「80年代の匂いのする造作」、そう言われると、再生紙の利用とか、「マニアマニエラ」、「観光地楽団」等の冬樹社のカセツト・ブックと似ています。
フォーク・クルセダーズよりもこちらの方がLPサイズに合っていましたが。
3部作の大げさなコンセプト、今聴くと陳腐に思えないか心配でしたが、純粋に「音楽」として普遍的な魅力があります。
特に、あの一家言を持つ坂本龍一をして、当時の「ニューミュージック・マガジン」の1979年の年間ベストに選出せしめた「パパ・ヘミングウェイ」はやはり名盤中の名盤ですね。
投稿: Accounting&Music | 2014年3月22日 (土) 19時20分