私の注目はやはりあの改正です。平成25年税制改正財務省主税局総務課課長補佐 吉沢 浩二郎ほか「改正税法のすべて」(2013年9月)
財務省主税局総務課課長補佐 吉沢 浩二郎ほか「改正税法のすべて」(2013年9月)。
早くも与党の平成26年税制改正大綱の原案が明らかになったとの報道がなされていますが、立法担当者による税制改正の解説本が今年もようやく発売。
財務省のWEBで開示されている「平成25年度税制改正の解説」「詳解」の書籍版ですが、税務専門家は書籍版をやはり手元に置いておきたいところ。
私にとっての最重要の改正は、やはり、待望していた、民事再生等の場合の評価損益の計上に適しない資産の範囲からの評価損益が少額の資産の除外です。
■民事再生等の場合の評価損益の計上に適しない資産の範囲からの評価損益が少額の資産の除外
本書によると以下の通り。
評価損益の計上に適しない資産の範囲から、評価損益が少額の資産が除外されました(旧法令24の2 ④五)。
この評価差額が少額の資産を評価損益の計上の対象となる資産から除外する規定は、評価差額が少額である資産については企業再生の場面においては重要性が乏しく、時価算定の公正性の担保について疑義があることなどの理由により設けられていましたが、企業再生における私的整理の実務の成熟などにより全ての資産について適正な資産評定が行われ、資産が公正な時価により評価されるといった現状からは、このような疑義は払拭されていること、企業再生の対象となる法人の規模やその営んでいる業種等によっては、一単位当たりの評価差額が1,000万円(100万円)未満である資産を大量に保有している場合もあり、この場合には評価差額1,000万円(100万円)の定額基準の存在により評価損益の計上ができず、そのような法人の実態を正確に反映できていないことなど、必ずしも現在の企業再生の実情に沿ったものになっていなかったことからこの定額基準を廃止することとされたものです。
■上記から感じること
以前にも当ブログに書きましたが、評価損益を計上に適しない資産の範囲からの少額資産の除外は、ようやく改正になったかというほど、実務上、大変重要な出来事。
従来は、資産の評価益の益金算入(法人税法第25条第3項)および資産の評価損の損金算入(法人税法第33条第4項)は利用しづらい規定で、実務上もあまりみかけませんでしたが、今後は大いに活用されることになるでしょう。
民事再生手続でも、従来は、評価損益を計上に適しない資産の範囲に少額資産が含まれることから、開始決定時損金経理方式(損金経理方式)(法人税法第33条第2項)による評価損の計上が多く利用されてきましたが、今後は認可決定時別表(申告調整)方式による評価損の計上の利用の方が多く用いられることになるでしょう。
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