あの破産実務の力作の改訂版。野村剛司(著)・新宅正人(著)・石川貴康(著)「破産管財実践マニュアル第2版」
野村剛司(著)・石川貴康(著)・新宅正人(著)「破産管財実践マニュアル第2版」(2013年7月)。
以前に当ブログで絶賛させていただいた、あの破産実務の力作の改訂版です。
■破産管財人が自らに支払う管財人報酬についての源泉徴収義務
私の注目は、先日も当ブログで取り上げさせていただいた、破産管財人が自らに支払う管財人報酬についての源泉徴収義務についての部分。
2011年01月14日付最高裁判決は、「破産財団を責任財産として、破産管財人が、自ら行った管財業務の対価として、自らその支払いを受けるのであるから、弁護士である破産管財人は、その報酬につき、所得税法204条1項にいう「支払をする者」に当たり、同項2号の規定に基づき、自らの報酬の支払いの際にその報酬について所得税を徴収し、これを国に納付する義務を負うと解するのが相当である。」と判断しているため、破産者ではなく、破産管財人である弁護士の名義で弁護士事務所の所在地を納税地として源泉所得税を納付するのかという疑義が生じていましたが、それに対する見解です。
この点について本書は、当該最高裁判例が管財人に管財人報酬の源泉徴収義務を認めたのは、破産者自身の属性を考慮したからにほかならないからであり、破産者名義で破産者が源泉徴収所得税を納付していた税務署に納付する旨を明言。
当該最高裁判例が意図したところは不明ですが、結論に異議ありません。
■その他
初版に引き続き、著者3人による「座談会」を今回も収録(初版の「座談会」もしっかり収録)されているのはうれしい限り。
「破産管財実践マニュアル」、第3版も期待させていただきます。
もちろん、「座談会」付で。
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