貴重な統計データです。森 まどか・藤本 利一「民事再生法の実証的研究 第7回 再生手続における財産評定・情報提供」(NBL 998(2013.4.1)号)
NBL 998(2013.4.1)号に掲載されていた、森 まどか中京大学教授・藤本 利一大阪大学教授による「民事再生法の実証的研究 第7回 再生手続における財産評定・情報提供」。
事業再生に関わる会計専門家、注目の貴重な統計データです。
詳しくは、NBL 998(2013.4.1)号をご覧になっていただきたいのですが、以下のような注目すべき貴重な統計データが掲載されています。
■継続的B/S
財産評定は、原則として財産を処分するものとしてしなけれぱならない(民事再生規則第56条1項本文)とされますが、例外として、必要がある場合には、処分価格の評定とあわせて、全部または一部の財産について、再生債務者の事業を継続するものとして評定することができる(同項ただし書)とされます。
継続的B/Sの提出件数は、87件/313件(27.8%)だそうで、これは私の実務経験からすると意外に高い数値です。
本稿でも指摘されていますが、税務上の損金算入要件を満たすために提出されていることが多いのではないかと思います。
■清算配当率
清算配当率の記載があった件数は、167件/313件(53.4%)とのこと。
いくら法定ではないとはいえ記載がない件数の多さには驚きましたが、おそらく再生計画案等で清算価値保障原則の充足を明示するための清算配当率を開示していたのではないかと思われます。
清算配当率の記載があった事件の平均配当率は5.3%とのことで、これは私の実務経験からすると妥当な数値。
■感じたこと
私とすれば、財産評定、清算配当率の算出における最大の難問、破産財団費用の金額についてもぜひ統計していただきたかったところでそこは残念。
しかしながら、森 まどか中京大学教授・藤本 利一大阪大学教授による「民事再生法の実証的研究 第7回 再生手続における財産評定・情報提供」(NBL 998(2013.4.1)号)、貴重な調査研究に感謝いたします。
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