関与する専門家必携、そして待望の民事再生手続の最新運用の書。鹿子木康 (編集)、東京地裁民事再生実務研究会 (著) 「民事再生の手引」
■税務会計専門家の注目部分
特に税務会計専門家に関係が深い部分につき簡単にコメントさせていただくと以下の通り。
【P170~「財産評定」】
・清算価値保障原則の基準時は、再生計画認可時という見解があるが、東京地裁破産再生部の見解としては再生手続開始時であることを明言。
・清算配当率の算定における破産財団費用の破産管財人報酬は、再生債務者の資産総額に一定割合を乗じて算出するのではなく、資産総額から相殺対象部分、別除権対象部分を控除した資産を基礎に算出すべきことを明言。
【P267~「再生計画案の作成」】
・この部分は、以前にご紹介した、NBL 978(2012.6.1)号、979(2012.6.15)号の2号に渡って掲載された、鹿子木康東京地方裁判所民事第20部総括判事による「東京地裁における再生計画案の審査について(上)(下)」と同様の内容。
・すでに、NBL記事の沿った再生計画案でないとすぐに指導が入る運用が始まっており、NBL記事をお持ちでない方は本書を入手のこと。
【P371~再生計画の遂行と履行監督】
・最近の運用である、清算型の再生計画の場合の財産処分状況の報告とその様式について言及。
■感じたこと
まるでブルドーザーのように改革を進める鹿子木康東京地方裁判所民事第20部総括判事、従事する専門家としては緊張感もありますが、手続の標準化がどんどん進められ、その効果は素晴らしいと思います。
中小企業金融円滑化法の期限切れに伴い民事再生手続が効果的に活用されることを期待させていただきます。
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