法人税基本通達12-3-2も予定通り改正となりました。国税庁が最新の法令改正に対応した法人税基本通達を公表。
国税庁は、2012年9月14日、最新の法令改正に対応した法人税基本通達を公表しました。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/kaisei/120912/index.htm
当ブログでも以前よりお伝えしていた、法人税基本通達12-3-2も無事改正され、平成23年12月税制改正と期限切れ欠損金の損金算入の問題点の解決が図られました。
■平成23年12月税制改正と期限切れ欠損金の損金算入の問題点
青色欠損金およぴ災害損失欠損金の繰越控除制度における控除限度額が、その繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得の金額の80%相当額とされました。
それに伴い、債務整理による債務免除等があった場合については、青色欠損金額のうち一定金額をないものとし、いわゆる期限切れ欠損金の損金算入により原則として従来どおり欠損金の損金算入ができるようにする等の整備が行われました。
それについては、現行の法令、法令解釈通達によれば、いわゆる期限切れ欠損金(別表五一の期首現在利益積立金の合計額のマイナス金額の絶対値から繰り越された青色欠損金と災害損失の欠損金の合計額を控除した残額)がない場合には、従来と異なり債務免除益が一部課税される場合が起こりうる疑義が生じていました。
ところが、2012年4月18日に行われた事業再生研究機構主催のセミナーでの財務省の立法担当者の解説によると、前事業年度以前の事業年度から繰り越された欠損金額の合計額とは、別表五一の期首現在利益積立金の合計額のマイナス金額によるとする、法人税基本通達12-3-2がもうすぐ改正予定との説明がなされていました。
■法人税基本通達12-3-2 前事業年度以前の事業年度から繰り越された欠損金額の合計額の改正
下記の通り、法人税基本通達 12-3-2にただし書き部分(赤字部分)が付け加えられました。
令第116条の3《会社更生等の場合の欠損金額の範囲》、第117条の2第1号《民事再生等の場合の欠損金額の範囲》及び第118条第1号《解散の場合の欠損金額の範囲》に規定する「前事業年度以前の事業年度から繰り越された欠損金額(同項に規定する個別欠損金額を含む。)の合計額」とは、当該事業年度の確定申告書に添付する法人税申告書別表5(1)の「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」に期首現在利益積立金額の合計額として記載されるべき金額で、当該金額が負(マイナス)である場合の当該金額による。
ただし,当該金額が,当該確定申告書に添付する法人税申告書別表七(一)の「欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書」に控除未済欠損金額として記載されるべき金額に満たない場合には,当該控除未済欠損金額として記載されるべき金額による。
■前事業年度以前の事業年度から繰り越された欠損金額の合計額
従来の「当該事業年度の確定申告書に添付する法人税申告書別表5(1)の「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」に期首現在利益積立金額の合計額として記載されるべき金額で、当該金額が負(マイナス)である場合の当該金額」という定義付けは、実は簡便的なものでした。
本来は、欠損金額のうち最も古い事業年度において生じたものから順次成るものとした場合に当該損金算入額に相当する金額を構成するものとされた未使用欠損金額があることとなる事業年度ごとに当該事業年度の未使用欠損金額のうち当該損金算入額に相当する金額を構成するものとされた部分に相当する金額(法人税法施行令第112条第9項)です。
いわゆる「期首利益積立金額のマイナスの金額」が当該本来の金額に満たない場合は、本来の金額によることがただし書きにより明らかにされました。
事業再生に携わる税務関係専門家にとっては一安心です。
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