輪廻転生、不死鳥のように甦るブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)の無邪気な魔法の音楽。ザ・ビーチ・ボーイズ (The Beach Boys)「スマイル(Smile Sessions)」
ザ・ビーチ・ボーイズ (The Beach Boys)「スマイル(Smile Sessions)」が発売(2011年11月)。
「ペット・サウンズ(Pet Sounds)」(1966年)的浮遊感溢れる音世界が大好きだけど、サーフィン・サウンドはわからない軟弱な(山下達郎等の人々と比べて)ザ・ビーチ・ボーイズ (The Beach Boys)ファンの私にとっても大事件。
とはいっても、EMIミュージックジャパンの売り文句のような未発表アルバム「スマイル(Smile)」が44年後に遂に発売というのはやはり多くの方が指摘の通りあまりに不適切。
今回発売されたのは、あくまでも、当初1967年に発売予定であったもののお蔵入りとなった未完成アルバム「スマイル(Smile)」のためのセッションの音源を、2003年にブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)がソロ・アルバムとして完成させた「スマイル(Smile)」の構成でいろいろとつぎはぎして再構築してみたという代物(その辺の事情は本盤解説と同じく萩原健太執筆の「レコード・コレクターズ2011年12月号」の記事を読むとよくわかります)。
では、おまけのおまけみたいなアルバムかというとそうはどっこい、さすがに「スマイル(Smile)」、「ペット・サウンズ(Pet Sounds)」を上回るかというぐらいの素晴らしい出来。
輪廻転生、不死鳥のように甦るブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)の無邪気な魔法の音楽、この気持ちよさは何なのでしょうか!
当初1967年に発売予定であったもののお蔵入りとなった未完成アルバム「スマイル(Smile)」ですが、その後のザ・ビーチ・ボーイズ (The Beach Boys)のアルバム、「スマイリー・スマイル(Smiley Smile)」(1967年)、「ワイルド・ハニー(Wild Honey (1967年)」、「20/20」 (1969年)、「サンフラワー(Sunflower) (1970年)、「サーフズ・アップ( Surf's Up)」 (1971年)のオリジナル・アルバムや編集盤等で断片的、断続的に公式発表。
同時並行的に海賊盤でも音源が流出。
そのような状況に終止符を打つかのように発表されたのが、2003年にブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)がワンダーミンツ (The Wondermints)のダリアン・サハナジャ(Darian Sahanaja)の手を借りてソロ・アルバムとして完成させた「スマイル(Smile)」。
そのトータル・アルバムとしての想像を上回る完成度には驚きましたが、やはり気になったのは、ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)のソロ・アルバム全部にも感じるデジタルっぽい音のうすさ。
「スマイル(Smile Sessions)」(2011年11月)ではその音像的な物足りなさが払拭。
昔のテープ録音によるコンプレッションが十分に効いた音の厚み、ワンダーミンツ (The Wondermints)より上手くないのかもしれないけど深みが違うザ・ビーチ・ボーイズ (The Beach Boys)のコーラス。
楽曲の断片を多数収録しておき、それらを繋ぎ合わせて1曲とする「フィールズ」と呼ばれる手法によるところが大きい、めくるめくような音像の「魔法」感が増大。
ところで、「スマイル(Smile Sessions)」を聴いて感じるのは、ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)の無邪気な天才ぶり。
以前に「ブライアン・ウイルソン自叙伝―ビーチボーイズ光と影(Brian Wilson Wouldn't It Be Nice)」(1993年)を読んだときに感じたのも、なんと子供っぽい人なんだろうということ(表紙は眉間にしわを寄せていますが)。
今回の本人のライナー・ノーツでも、「音楽、楽しいこと、友人・・・どれも笑顔にしてくれる。これが僕らのやっていることのゴールだった。世界中を笑顔にすること。なぜなら笑顔は魂を救うから」と「スマイル(Smile)」について語るブライアン。
純粋無垢とも言える「音楽」の楽しさに満ちた「スマイル(Smile)」、この次の輪廻転生はあるのでしょうか。
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