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循環取引に関する税務について具体的に言及した単行本が遂に登場。霞晴久・中西和幸・米澤勝著「架空循環取引―法務・会計・税務の実務対応」

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 新聞報道を見ると、循環取引の蔓延には驚くばかりであり、日本は「粉飾列島」と化しているのかと空恐ろしくなる昨今。

 我が事務所でも、最近、循環取引の調査と税金の更正の請求、上申(嘆願)のお手伝いをさせていただく機会があり、何とか成功しましたが、これが七転八倒の難しさ。

 何しろ、循環取引への実務的対応に取り組んだ書籍は数少なく、税務について具体的に言及した単行本は無かったといって良い状況。

 そんな中、遂に登場したのが、霞晴久・中西和幸・米澤勝著「架空循環取引―法務・会計・税務の実務対応」(2011年3月)。

 人気ブログ「ビジネス法務の部屋」主宰の山口利昭弁護士の「推薦の言葉」でも、

・架空循環取引の概念があいまい

・会計、法務、税務にまたがる極めて難解なテーマ

・取引先を含め、その不正には多数の関係者が関与し早期発見が困難

・発覚後の循環取引に関わっていた企業間における「後始末」にも課題

・法と会計、税務、取引実務、調査手続など広い見識が無ければ企業実務家の参考となるものを著すことは困難なテーマ

であり解説が難しいと指摘の循環取引について、実務的対応、特に税務について初めて具体的に言及した単行本として、実務家注目の書です。

■循環取引の会計と税務

 やはり、注目点は、「第3編 循環取引の会計と税務」。

 詳しくは、本書をぜひ購入して読んでいただきたいと思います。

  私の感想は、具体例が示されており大変参考となりますが、おそらく上場企業の一例ではないかと思われ、実務上は個別具体的に様々な対応があり得るのではないかということ。

 循環取引の税務、更正の請求(上申、嘆願)については、単行本ではありませんが、「税経通信」2009年6月号に掲載された、藤巻一男新潟大学経済学部准教授による「循環取引を巡る会計監査と税務調査について」という論文もあり、本書と併せて参考に、まだまだ道なき道を進まざるを得ないでしょう。

■循環取引に関する更正の請求

 平成23年度(2011年度)税制改正で、適用法定外の手続により非公式に課税庁に対して税額の減額変更を求める「嘆願」という実務慣行を解消するとともに、納税者の救済と課税の適正化のバランス、制度の簡素化を図る観点から、平成23年6月1日以後に行う更正の請求について、納税者が行うことができる更正の請求の現行1年という期間が、5年に延長される予定。

 循環取引に関する更正の請求は、私が経験した仕事の中でも特に難易度が高く、我々税務会計専門家の腕の見せ所であり、その機会は大幅に増えそうです。

 霞晴久・中西和幸・米澤勝著「架空循環取引―法務・会計・税務の実務対応」は、その際に大いなる道標となるでしょう。

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