東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)に関する特例措置情報No.8:社会保険料、労働保険料の納期限の延長、国民年金保険料の免除
このたびの東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお折りいたします。
当ブログでも微力ではありますが、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)に関する特例措置情報をアップさせていただきますので、よろしければご参考ください。
今回は、社会保険料、労働保険料の納期限の延長、国民年金保険料の免除についてです。
■厚生年金保険料等の納期限の延長
【国税の納期限の延長】
厚生年金保険料、船員保険料、全国健康保険協会の管掌する健康保険料、子ども手当に係る拠出金等の保険料については、国税徴収の例により徴収するとされます。
先日ご紹介したように、国税通則法第11条によると、国税庁長官等は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、その理由のやんだ日から二月以内に限り、当該期限を延長することができるとされます。
そして、国税通則法施行令第3条1項によると、その理由が都道府県の全部又は一部にわたるときは、国税庁長官は、地域及び期日を指定して期限を延長することができるとされます。
今回の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)に関しては、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県について、3月15日付で告示がなされ、申告・納付等の期限が、全ての税目について、自動的に延長されることとなりました。
【厚生年金保険料等の納期限の延長】
3月13日付で厚生労働省から「東北地方太平洋沖地震に係る社会保険料の延長等について」が公表され、3月24日付で「青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県における社会保険料及び労働保険料等に関する納期限等を延長する件」として正式に告示がなされました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015h3n.pdf
http://www.houko.com/00/RINJI/04/H23/6_066.HTM
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000168il.html
(1) 今般の地震によって多大な被害を受けた以下の地域に所在地のある事業主の方等に対して、厚生年金保険料等(注1)の納期限の延長が行われます。
青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県(注2)
(注1) 厚生年金保険料、船員保険料、全国健康保険協会の管掌する健康保険料、子ども手当に係る拠出金等。
(注2) 上記の対象地域については、今後、被災の状況を踏まえて見直ししていくこととされています。
(2) これにより、(1)の地域にある事業主等については、地震が発生した本年3月11日以降に到来する保険料等の納期限が自動的に延長されることになりました。
なお、延長後の納期限は、今後、被災者の状況に十分配慮して検討していくこととされています。
(注1) 延長後の納期限は、災害がやんだ日から2月以内の日を別途告示によって定めることになります。
(注2) この措置により、納期限が延長される保険料等は、「納期限が3月31日である2月分保険料等」から「延長後の納期限の前日までの間に本来の納期限が到来する月分の保険料等」までが対象となります。
(3) なお、(1)の地域にある事業主等で毎月月末に行っていた保険料等の預金口座からの引き落としは、納期限が延長されている間は行わないこととされます。
この取扱いにより3月31日に預金口座から引き落としを行わなかった保険料等については、事業主等に対し、4月中旬以降に別途「納入告知書」を送り、延長後の納期限までに金融機関の窓口で納付することとなります。
(4) 金融機関の窓口で毎月納付されている事業等に送る納入告知書には、(1)の地域であっても本来の納期限(2月分保険料等は3月31日)が記載されています。納期限の延長に伴い、当該納期限についても延長されることになります。
(注) 事業主等に送られた納入告知書に納期限が延長したことをお知らせするチラシが同封されています。
■労働保険料等の納期限の延長
労働保険料、特別保険料、一般拠出金並びに障害者雇用納付金についても上記と同様に、納期限の延長が行われます。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000162vu.html
(1) 今般の地震によって多大な被害を受けた以下の地域に所在地のある事業主等に対して、労働保険料等(注1)の納期限の延長を行われます。
青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県(注2)
(注1)労働保険料、特別保険料、一般拠出金並びに障害者雇用納付金。
なお、障害者雇用納付金については、対象地域に主たる事務所の所在地がある事業主が対象となります。
(注2)上記の対象地域については、今後被災の状況を踏まえて見直ししていくこととされています。
(2) (1)の地域にある事業場の事業主等については、地震が発生した平成23年3月11日以降に到来する労働保険料等の納期限が自動的に延長されることになりました。
なお、労働保険料等の納期限をいつまで延長するかについては、今後、被災者の状況に十分配慮して検討していくこととされています。
(注)延長後の納期限は、災害がやんだ日から2月以内の日を別途告示によって定めることになります。
(3) 具体的には、労働保険料については、多くの事業主は本年7月11日が納期限のものから、一部の建設業の事業主は、本年3月31日が納期限のものから適用されます。また、障害者雇用納付金については、多くの事業主は本年5月16日に納付期限が到来するものから適用されます。
(注)労働保険料及び障害者雇用納付金に係る追徴金及び延滞金であって、平成23年3月11日以降に納期限が到来するものも適用されます。
■国民年金保険料の免除
3月18日付で、厚生労働省年金局日本年金機構は、「国民年金保険料の免除についてのお知らせ」を公表しています。
http://www.nenkin.go.jp/new/press_release/h23_03/0314_05.pdf
1 被災に伴い、住宅、家財、その他の財産について、おおむね2分の1以上の損害を受けられた方等は、ご本人からの申請に基づき、国民年金保険料が全額免除になります。
2 免除となる対象者の範囲の詳細や申請手続きについては、市区町村またはお近くの年金事務所へお問い合わせください。
3 免除の申請手続きは、23年7月末日までに行ってください。
※ 保険料の口座振替を利用されている方で、被災により今後の保険料納付が困難な方は、口座振替の停止手続をとっていただく必要がありますので、速やかにお近くの年金事務所までご相談ください。
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