東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)に関する特例措置情報No.5:災害義援金の税務上の取り扱い。「国等に対する寄附金」の確認手続の簡素化による、所得税法の寄附金控除、法人税法の損金算入の容易化
このたびの東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお折りいたします。
当ブログでも微力ではありますが、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)に関する特例措置情報をアップさせていただきますので、よろしければご参考ください。
今回は、災害義援金の税務上の取り扱い、「国等に対する寄附金」の確認手続の簡素化による、所得税法の寄附金控除、法人税法の損金算入の容易化についてです。
■災害に係る義援金は最終的に国等に拠出されるものなら「国等に対する寄附金」
支出する寄附金が「国等に対する寄附金」に該当する場合、
個人の場合は、所得税法上の寄附金控除
法人の場合は、法人税法の寄附金として全額損金算入
の対象となります。
災害に際して募金団体に義援金等を寄附する場合、最終的に国等に拠出されるものであるならば、「国等に対する寄附金」に該当します。
■ 「国等に対する寄附金」の確認手続の簡素化
今回の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)について、国税庁は3月15日に「募金団体を通じた義援金等に係る税務上の確認手続きについて」を公表し、
「その義援金等が最終的に国、地方公共団体に拠出されるものであることが新聞報道、募金要綱、募金趣意書等で明らかにされており、そのことが税務署において確認されたときには、その義援金等は「国等に対する寄附金」に該当するものとして取り扱われます。」
と明らかにし、確認手続が簡素化されました。
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/gien/index.htm
取扱いに係る詳細については、「国等に対する寄附金又は災害義援金等に関する確認事務について(事務運営指針)」をご参考ください。
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/gien/01.pdf
日本赤十字社、報道機関等に対する義援金等については、特段の確認手続きを要することなく、「国等に対する寄附金」に該当するとされます。
その他のさまざまな義援金等がが「国等に対する寄附金」に該当するかについては、最寄りの税務署で確認を行う必要があります。
■「東北地方太平洋沖地震に係る義援金等に関する税務上の取扱いについて」
さらに、国税庁は、3月18日付で、「東北地方太平洋沖地震に係る義援金等に関する税務上の取扱いについて」を公表し、上記の義援金等に関する税務上の取扱いについて、わかりやすくまとめた資料を公表しております。
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/gienkin.pdf
義援金等を支出した方は、遠慮なく上記の税務上の優遇措置の適用を受けるべきかと思われます。
そして、税務上の優遇措置を考慮の上、義援金等の支出を検討していただきたいと思います。
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