「アカウンティング&ミュージック 2010年洋楽ベスト5(Accounting&Music 2010 Inport music Best 5)」。真の創造意欲が試される時代No.1。
第1位は、スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)ですが、待望の新作フル・アルバム、「ジ・エイジ・オブ・アッズ(Age of Adz)」(2010年10月)。
アメリカ50州のそれぞれのためにアルバムを作るという壮大なプロジェクト「THE 50 STATES」が「イリノイ(ILLINOISE)」(2005年)以降一向に進展せず、どうしたんだろうと心配していた、スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)。
ロッキング・オンの音楽情報サイトRO69のこの記事や、この記事によると、4ヶ月間、まったく曲が書けなくなる大スランプに陥り、あらゆるものへの壮大なアプローチにもう飽き飽きし、音楽活動そのものをやめてしまおうと真剣に考えていたとのこと。
新作「ジ・エイジ・オブ・アッズ(Age of Adz)」は、コンセプトにとらわれずに、本能と衝動を重視した直球勝負の1作で、美しいメロディーとアヴァンギャルドな電子音が織りなす唯一無二の音像がすごく、スフィアンの最高傑作といってもよい程の出来。
しかし、欧米での評価が、「イリノイ(ILLINOISE)」(2005年)より低いようなのはなぜ?
第2位は、チリー・ゴンザレス(Chilly Gonzales)「アイボリー・タワー(IVORY TOWER)」(2010年9月)。
当ブログでも絶賛させていただいた1曲目「ワーキング・トゥギャザー(Working Together)」のウルトラ・ポップぶりが印象的だった、ゴンザレス(Gonzales)「ソフト・パワー(SOFT POWER)」(2008年)に続く本作 正直言ってここまでやるとは驚きの、「人力ループ」ピアノと絶妙な哀愁味のメロディーが織りなす、高いプロフェッショナリズムに支えられた傑作アルバム。
・You tube上の7曲目「ネバー・ストップ(NEVER STOP)」が使われたiPad is DeliciousのCM
http://www.youtube.com/watch?v=btfbIVGES1I
このCMで知らない間にチリー・ゴンザレス(Chilly Gonzales)の音楽を耳にした方も多いはず。
新進実力派プロデューサーの作品としては、マーク・ロンソン&ザ・ビジネス・インターナショナル(Mark Ronson & The Business Intl)「レコード・コレクション(Record Collection)」 (2010年9月)も素晴らしかったですが、トータルな完成度でゴンザレスに軍配が。
あまり関係ありませんが、ルイ・フィリップ(Louis Philippe)の3rdアルバムも「アイボリー・タワー(IVORY TOWER)」だったことを最近発見。
第3位は、MGMT「コングラチュレイションズ(Congratulations)」(2010年4月)。
デビュー・アルバム、「オラキュラー・スペクタキュラー(Oracular Spectacular)」(2007年)が、NME's Top Albums Of The Year 2008(NME誌 2008年ベストアルバム)の第1位になったり、グラミー賞最優秀新人賞にノミネートされるなど、各方面で絶賛されたMGMT。
そんなMGMTの期待の2ndアルバムですが、本人達も前作のイメージを持って聴くとショックを受けるかもと公言する、シングル向キラー・チューンの見当たらないかなりサイケデリックな浮遊感あふれるトータル・アルバム。
レコード会社の人はがっくりきただろうと思いますが、私の好きな元ザ・ディービーズ(The dB's)のクリス・ステイミー(Chris Stamey)の世界に通ずるものがあり、個人的には前作よりも気に入りました。
・1曲目「イッツ・ワーキング(It's Working)のYou Tube上のプロモーション・ビデオ(PV)。
http://www.youtube.com/watch?v=JyaDTiXH3R4
当ブログではご紹介の機会を逸しましたが、今が旬、ブルックリン勢としては、スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)と親交の深い、ザ・ナショナル(The National)「ハイ・ヴァイオレット(High Violet)」(2010年5月)も素晴らしかったです。
第4位は、キャロル・キング&ジェイムス・テイラー (Carole King & James Taylor)「トルバドール・リユニオン(Live at the Troubadour)」(2010年5月)。
本作参加の名ドラマー、ラス・カンケル(Russell Kunkel)の息子、ナザニエル・カンケル(Nathaniel Kunkel)による録音の素晴らしさが、本作を単なる懐メロ・ショーではなく、キャロル・キング(Carole King)とジェイムス・テイラー(James Taylor)が長い旅路の末に行き着いた、珠玉のライヴ作品へと昇華。
・You Tube上の1曲目、ジェイムス・テイラー(James Taylor)作「花(Blossom)」のライヴ映像。
http://www.youtube.com/watch?v=3levR_FBj7w
歳を重ねるって素晴らしいと勇気づけられる2010年のシルバー・ミュージックの代表作です。
これまた当ブログではご紹介の機会を逸しましたが、シルバー・ミュージックとしては、ジョージ・ガーシュウィン(George Gershwin)作品を再創造(reminagined)した、ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)「Reimagines Gershwin」(US:2010年8月)も素晴らしかったです。
第5位は、カニエ・ウェスト(Kanye West)「マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー(My Beautiful Dark Twisted Fantasy)」(US:2010年11月、JP:2010年12月)。
欧米音楽雑誌の2010年のベスト・アルバムを席巻する、プログレ的と言っても良いぐらい、コンセプチャルなトータル・アルバム。
なんといっても、おじさんをイチコロにしてくれるのが、名曲 「21世紀の精神異常者(Twenty First Century Schizoid Man)」のサンプリングした、キング・クリムゾン (King Crimson)とヒップ・ホップ(Hip Hop)の夢の競演(笑)、3曲目「パワー(Power)」。
・You Tube上の3曲目「パワー(Power)」の2010年10月2日の米TV番組「サタデー・ナイト・ライヴ(Saturday Night Live)」の映像。
http://www.youtube.com/watch?v=8e1B2YMQNlU
いよいよ、カニエ念願のグラミー賞「Album of the year」の獲得を予感させる力作です。
他に、ブラック・ミュージックとしては、シャーデー(Sade)「ソルジャー・オブ・ラブ(Soldier of Love)」(UK:2010年2月、JP:2010年3月)も傑作でしたが、溢れんばかりのエネルギーでカニエに軍配。
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