ようやく明らかになってきました。「小規模企業共済の加入対象者拡大で追加情報 事業専従者控除の適用者も加入可能に」(「週刊税務通信 No.3137 平成22年11月1日」より)
以前に当ブログでもご紹介した、中小企業経営者の老後資金の積立運用の決定版「小規模企業共済」。
昨年末に、平成22年税制改正大綱で、加入対象者に配偶者や後継者などが追加されることがアナウンス。
その後、平成22年6月18日に政令により、施行期日を、平成23年1月1日とする旨が明らかにされていましたが、中小企業基盤整備機構ウェブサイトでも、「共同経営者であることの確認方法・確認書類の内容は現在検討中です。また、加入された場合は、共同経営者の方の事業実施状況について、継続的に確認させていただく予定です。詳細が決まり次第、当機構ホームページでご案内します。」と詳細がなかなか明らかにされていませんでした。
「週刊税務通信 No.3137 平成22年11月1日」の記事、「小規模企業共済の加入対象者拡大で追加情報 事業専従者控除の適用者も加入可能に」によると、連帯保証書等がなくても加入可能、「事業専従者控除」の適用者も加入できる方針とのことです。
■連帯保証書等がなくても加入可能
個人事業主の妻や子などが「共同経営者」として小規模共済に申し込む際には、
共同経営者の
「事業の経営に必要な資金の負担をしていることを証する書類」
「重要な業務執行の決定に関与していることを証する書類」
が必要となる見込み。
その際に、「事業の経営に必要な資金の負担をしていることを証する書類」には連帯保証契約書などが該当し、「重要な業務執行の決定に関与していることを証する書類」には経営
に係る議事録などが該当すると既に報道されていましたが、実務上は,連帯保証契約書や議事録がないことも少なく、新制度開始後も加入できないのではないかとの懸念が生じていました。
しかし、上記書類を用意できない場合には、申込書に「重要な業務執行の決定に関与している」旨を記載すれば,基本的には上記の書類を用意できたものとみなす方針とのこと(どうも、農業者年金基金の申込書と一部類似した形式らしい)。
■「事業専従者控除」の適用者も加入できる方針
所得税の確定申告において、「事業専従者控除」の適用を受けている場合に、事業専従者控除の適用者は共同経営者と解し、小規模共済に加入できないのではないかとの疑念も生じていました。
しかし、改正小規模企業共済の法律・政省令には、「事業専従者控除」の適用を受けていることをもって加入を拒絶する旨の規定はなく、仮に妻や子などが「事業専従者控除」の適用を受けていたとしても,そのことをもって小規模共済の加入を拒絶されることはないとのこと。
■上記から感じること
小規模企業共済のメリットは以前の記事で指摘の通りですが、公的な商品・サービスには売り手の経済合理性とかけ離れた、買い手にとって明らかに有利な商品・サービスがあるため、税金の使い道としての善悪は別として、買い手としてはまずはその利用を考えるべき。
ただ、気をつけなければいけないのは、小規模企業共済の加入資格は、常時使用する従業員が20人(商業とサービス業では5人)以下の個人事業主と会社の役員等ですので、開業し数年が経ち、やっとゆとりが出来て加入しようとしたら、加入資格要件を満たさなくなっていたということが起きる可能性がある点で、加入後に従業員が増えても共済契約は継続できますので、開業したら、早めに買い手にとって明らかに有利な小規模企業共済への加入を検討すべきですのでご注意ください。
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