2010年(平成22年)の公認会計士試験、合格者及び合格率等を発表。「短答式試験合格者免除者」を除いた合格率は、新制度化最低の7.6%。
新聞等の報道によると、2010年11月15日、公認会計士・監査審査会は、2010年の公認会計士試験の合格結果を発表しましたが、出願者25,648人のうち、最終合格者数は前年より8.4%減の2,041人、合格率も2.5%減の8.0%となったとのこと。
毎年、当ブログでも指摘させていただいておりますが、制度の移行期であることから、旧制度との比較のため、旧第2次試験合格者等の「短答式試験合格者免除者」を除いた合格者で見てみると、前年比0.4%増の1,923人で合格率7.6%。
最年少16歳の高校2年生や、現役日本代表のバスケット・ボール選手の合格も話題になっておりますが、「短答式試験合格者免除者」を除いた合格率7.6%は、新制度化で最低だったようです。
■「短答式試験合格者免除者」を除いた合格者数と合格率の推移
公認会計士・監査審査会の「平成22年公認会計士試験 合格者調」によると以下の通り。
http://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/ronbungoukaku_22h.pdf
合格者数 (合格率)
2010年 1,923人 ( 7.6%)
2009年 1,916人 ( 9.4%)
2008年 3,024人 (15.3%)
2007年 2,695人 (14.8%)
2006年 1,372人 ( 8.4%)
■過去の旧第2次試験合格者数と合格率の推移
2005年 1,308人 ( 8.5%)
2004年 1,378人 ( 8.4%)
2003年 1,262人 ( 8.4%)
2002年 1,148人 ( 8.6%)
2001年 961人 ( 8.0%)
2000年 838人 ( 7.6%)
■上記から感じること
2年前の当ブログの記事では、司法試験の合格者の弁護士業界は、他の弁護士事務所の軒を借りる「のき弁」ならぬ、自宅で自分で開業する「たく弁」なる言葉が出てくるほどの人材市場の人余り、空前の買い手市場であるものの、片や公認会計士業界は、J-SOX法や四半期決算対応のため人材市場の人不足、空前の売り手市場と指摘。
ところが、この2年で、あっという間に買い手市場に反転、合格したのに就職できない就職浪人が、合格者の半数に当たる過去最大の1千人超に達する可能性が出てきているらしい。
とはいえ、厚生労働省が先日公表した来春卒業予定の大学、短大、高等専門学校生の10月1日時点の就職内定率は56%とのこと。
2010年度の公認会計士試験合格者も、この10年の推移を見ると合格者数、合格率ともに決して低い水準ではないことではなく、公認会計士制度や資格制度の抜本的な見直しも検討されているようですが、間口を広くし自由な競争を生むような方向の維持を私は期待いたします。
私も、監査法人ではなく一般企業で実務経験を積む「実務従事」という要件を満たして公認会計士なった少数派。
試験はあくまでも入口にすぎず、試験合格で特別な身分が約束されるというような「幻想」を捨て、いろいろな道がありますので、お互いに切磋琢磨しましょう。
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