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美しいメロディーとアヴァンギャルドな電子音が織りなす唯一無二の音像がすごい、スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)待望の新作フル・アルバム。「ジ・エイジ・オブ・アッズ(Age of Adz)」

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 レッド・ホット・コンピレーション(Red Hot Compilation)シリーズ、最新作「ダーク・ワズ・ザ・ナイト(Dark Was The Night)」(2009年2月)収録の「ユー・アー・ザ・ブラッド(You Are The Blood)」が、2009年のベスト・トラックといって良いほど素晴らしかった、スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)。

 気が付いてみると、「イリノイ(ILLINOISE)」(2005年)以来、オリジナル・フル・アルバムが発売されていなかったスフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)ですが、待望の新作フル・アルバム、「ジ・エイジ・オブ・アッズ(Age of Adz)」(2010年10月)がやっと到着。

 「ユー・アー・ザ・ブラッド(You Are The Blood)」でも予感させてくれましたが、美しいメロディーとアヴァンギャルドな電子音が織りなす唯一無二の音像は、すごいの一言です。

 アメリカ50州のそれぞれのためにアルバムを作るという壮大なプロジェクト「THE 50 STATES」が「イリノイ(ILLINOISE)」(2005年)以降一向に進展せず、どうしたんだろうと心配していた、スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)。

 ロッキング・オンの音楽情報サイトRO69のこの記事や、この記事によると、4ヶ月間、まったく曲が書けなくなる大スランプに陥り、あらゆるものへの壮大なアプローチにもう飽き飽きし、音楽活動そのものをやめてしまおうと真剣に考えていたとのこと。

 新作「ジ・エイジ・オブ・アッズ(Age of Adz)」は、コンセプトにとらわれずに、本能と衝動を重視した直球勝負の1作らしい。

 それが功を奏してか、従来の作品は素晴らしかったものの大作なあまり冗長さも感じられましたが、本作は無駄が感じられすアルバムとしては最高傑作といってもよい程の出来。

 まずは、何といっても、自称予言者にして精神分裂症に苦しんだらしいルイジアナ出身の黒人看板画家、ロイヤル ・ ロバートソン(Royal Robertson)の作品を用いたジャケットがすごい。

 付属のブック・レットにも、ロイヤル ・ ロバートソン(Royal Robertson)の作品がふんだんに使われていますが、岡本太郎作品のようなプリミティブで何とも言えない強烈なインパクト。

 サウンドの方は、「ユー・アー・ザ・ブラッド(You Are The Blood)」でも予感させてくれましたが、美しいメロディーとアヴァンギャルドな電子音が織りなす唯一無二の音像。

 電子音の使い方のセンスの良さは、天才的。

 そして、ラストを飾る25分強のプログレ風組曲?、「インポッシブル・ソウル(Impossible Soul)」が感動的。

 特に(It'A Long Life!/Boy! We Can Do Much More Together)という合唱部分がたまりません!

・You Tube上のアップされた「インポッシブル・ソウル(Impossible Soul)」の(It'A Long Life!/Boy! We Can Do Much More Together)部分の音のみ。

 http://www.youtube.com/watch?v=MRA6GiVhfao

 ちなみに、スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)は、「ジ・エイジ・オブ・アッズ(Age of Adz)」の直前に、「All Delighted People EP」(2010年8月)という配信限定シングルも公表。

 こちらは、電子音の少ない弾き語り的作品で、どういう意味合いの作品なのかよくわかりませんが、「ジ・エイジ・オブ・アッズ(Age of Adz)」と比べるとデモ・トラック集のように聞こえてしまうのも事実。

 「All Delighted People EP」は、12月にCDとしての発売も予定されているらしい。

 いかにも、冷静沈着そうな天才、スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)が苦しんだ末に放つ心の叫びのようにも思える、「ジ・エイジ・オブ・アッズ(Age of Adz)」、本年のベスト・アルバムではないでしょうか?

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» Sufjan Stevens「The Age of Adz」 [すいかエンタ!]
アメリカインディのヒーローSufjan Stevensの久々の新譜「The Age of Adz」がリリース。アメリカ全州プロジェクトとして大絶賛を受けた「Illinois」以来の久々のオリジナルアルバムだが、その間には曲がかけなくなった時期もあったそうで、一度すべての制約を外し一から作り上げたのが今作。今までの暖かみのあるアコースティックなサウンドに加え今作はエレクトロを導入。混沌とした音の渦の中に美しいメロディとSufjanの美声が浮かんでは消えていく、、、非常に雑多でありながら強く幻想的な... [続きを読む]

受信: 2010年11月11日 (木) 16時22分

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