傑作「花音(Canon)」に続く期待の最新作は「静寂」がテーマ。ワールドスタンダード(World Standard)「シレンシオ(静寂)(SILENCIO)」
当ブログでもリンクを張らさせていただいている音楽サイトUwatzlla!でも鋭い出足で紹介されていますが、細野ファミリーの大番頭、鈴木惣一朗(Sohichiro Suzuki)率いるワールドスタンダード(World Standard)の最新作、「シレンシオ(静寂)(SILENCIO)」(2010年10月)が到着。
思わず鈴木惣一朗(Sohichiro Suzuki)のアーティストとしての最高傑作と絶賛させていただいた、「花音(Canon)」(2008年10月)から2年。
「シレンシオ(静寂)(SILENCIO)」は、カルロス・アギーレ(Carlos Aguirre)等のアルゼンチンの音楽から影響を受けた、ポルトガル語詩中心、「静寂」がテーマの意欲作です。
実は私、近年日本でも人気が高い南米の音楽がどうも苦手。
Labels-UNITEDのサイトの鈴木惣一朗(Sohichiro Suzuki)によるこの記事によると、「シレンシオ(静寂)(SILENCIO)」はブエノスアイレスの音楽家たちへの「拍手と愛」の手紙とのこと。
そこまで言われちゃと、今回、OMAGATOKIのオムニバス盤「オーガニック・ブエノスアイレス(Organic Buenos Aires)」(2008年4月)や、橋本徹監修・選曲のアプレミディ(Apres-midi)のオムニバス盤「美しき音楽のある風景 ~素晴らしきメランコリーのアルゼンチン~」(2010年5月)を手始めに、静寂系のアルゼンチンの音楽に色々とチャレンジ。
その印象は、大変申し訳ありませんが、静寂と退屈は紙一重、アンデス高地の空気の薄さのようにメロディーが私にとっては少々希薄。
えっ、ブエノスアイレスは港町で全然空気薄くないって。重ねて申し訳ございません。
そういうわけで、「シレンシオ(静寂)(SILENCIO)」ですが、「花音(Canon)」より受け継がれている実にていねいに練られた音作りは見事ですが、神田智子の無色透明なヴォーカルも相まってメロディー感がやはり希薄に感じるのが正直なところ。
「花音(Canon)」は1曲目の「Snow Wing」の南イタリア的郷愁あふれるメロディーが素晴らしくグィっと引き込まれる印象でしたが、「シレンシオ(静寂)(SILENCIO)」は焦らされて焦らされて最終13曲目「シレンシオ(SILENCIO)」で至福の郷愁メロディーが。
それはそれで快感なのですが。
ずいぶんと厳しめの意見を書いてしまいましたが、鈴木惣一朗(Sohichiro Suzuki)に対しては私の要求水準が高いため。
「シレンシオ(静寂)(SILENCIO)」、めったに私が聴いている音楽をほめず、気持ち悪いから他の音楽にしてくれなどとも申す私の同居人が、これは気持ちのいい音楽だと申しておりましたこともご報告させていただきます。
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コメント
菅井家のエピソード、実によくわかります。音楽の構築感を愛でるタイプと、ムードに身を委ねたいタイプ。もちろん、どっちが上等ってことはありませんが。
アルゼンチン音楽には浮き世離れした静謐と常軌を逸した作り込みの両極が存在して、カルロス・アギーレなんかは前者の巨頭ですね。アンビエント、というよりオーガニックな輸入雑貨屋のBGM的な音には一定の需要がありますから、そこにつながる国内人気じゃないかと思います。
アルゼンチンにはその両極の間にある新鮮な構築美のストレンジ音楽も豊富なのですが、鈴木惣一朗はあえてそこへは踏み込まなかった。なんとなくわかりますが、WSが仙人っぽくなっていくのには、私も物足りなさをおぼえます。
投稿: MYB | 2010年10月30日 (土) 00時51分
MYBさん、コメントありがとうございます。
「音楽の構築感を愛でるタイプ」とのご指摘、見事に分析されてしまいました。
考えてみると、即興音楽とか、ジャム・バンドとか、いまひとつ苦手だからなぁ。
アルゼンチン音楽の「常軌を逸した作り込み」、ちょっと垣間見てみたい気がいたします。
投稿: Accounting&Music | 2010年10月31日 (日) 03時12分