あの粉飾決算等を行っている会社のBS上の実在性のない資産の取扱いについての提言が本になりました。事業再生研究機構税務問題委員会編「清算法人税申告の実務」
思わず「待ってました!」と当ブログでも歓迎させていただいた、清算所得課税の通常所得課税への移行に伴い、事業再生研究機構の税務問題委員会が7月に公表した、粉飾決算等を行っている会社のBS上の実在性のない資産の取扱いについての提言である「平成22年度税制改正後の清算中の法人税申告における実務上の取扱いについて」。
その提言が、事業再生研究機構税務問題委員会編「清算法人税申告の実務」(2010年9月)として書籍化。
第2章 継続的な申告が困難な場合における破産管財人による法人税申告書の記載例(平成22年度税制改正後)、参考法令等(抄録)が新たに追加された書籍版、事業再生に関わる税務会計専門家はぜひとも手に入れたいところです。
■第2章 継続的な申告が困難な場合における破産管財人による法人税申告書の記載例(平成22年度税制改正後)
下記の記載例が新たに追加。
設 例1― 破産手続が開始決定から1事業年度以内に終わるケース
設 例2 ①破産手続が開始決定から2事業年度以降に終わるケース(3月決算)
―第1事業年度
②破産手続が開始決定から2事業年度以降に終わるケース(3月決算)
―第2事業年度
設 例3―不動産を譲渡し、譲渡益が生じたケース
設 例4―債務免除益が生じたケース
設 例5―債務の総額の相違が生じたケース
設例1および設例3における法人税申告書等の記載例(詳細版)
■国税庁の見解も遂に公表
そういえば、「週刊税務通信3133号 2010年10月04日」によると、10月から適用が開始される法人税関係法令の改正事項の取扱いについては、8月13日に質疑応答事例が公表されていますがその第2弾が近く公表される見込みで清算所得課税の廃止とセットで手当てされた「期限切れ欠損金の損金算入」について、法令通達では読み切れないような実務上の疑問に対する回答が盛り込まれる模様とのこと。
どうなったかと思って見てみると、平成22年10月6日付で公表されていました、「平成22年度税制改正に係る法人税質疑応答事例(グループ法人税制その他の資本に関係する取引等に係る税制関係)(情報)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/101006/index.htm
■国税庁の見解での注目
なんといっても、「問11 実在性のない資産の取扱い」。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/101006/pdf/11.pdf
おお、事業再生研究機構の提言を追認しており、なんと、解説2では、「 なお、お尋ねの内容は、一定の法的整理手続又は私的整理手続に従って清算が行われる場合における実在性のない資産の取扱いですが、民事再生や会社更生の手続に従って会社が存続して再生をする場合や、公的機関が関与又は一定の準則に基づき独立した第三者が関与して策定された事業再生計画に従って会社が存続して再生する場合においても、お尋ねの内容と同様に実在性のないことの客観性が担保されていると認められるときには、これと同様の取扱いとすることが適当と考えられます。」の一文まであるではないですか。
■上記から感じること
これで、だいぶ枕を高くして寝られそうです。
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