事業再生に関わる税務会計専門家はお見逃しなく。事業再生等における清算所得課税の通常所得課税への移行の影響についての網羅的な解説。杉本茂・林達男・柴田淑哉「企業の解散・清算の局面における平成22年度税制改正のポイント」(「NBL No.938 2010.10.1」より)
株式会社商事法務の年間購読制の法律雑誌「NBL No.938 2010.10.1」に掲載された、杉本茂・林達男・柴田淑哉「企業の解散・清算の局面における平成22年度税制改正のポイント」は、事業再生等における清算所得課税の通常所得課税への移行の影響について網羅的に解説。
http://www.shojihomu.co.jp/nbl/nbl101001.html
amazonで入手できず、八重洲ブックセンターなど一部でしか書店売りもない専門雑誌のNBLではありますが、事業再生に関わる税務会計専門家なら、お取り寄せ、図書館等の手段でお見逃しのないことを。
■「企業の解散・清算の局面における平成22年度税制改正のポイント」
本論文は、事業再生等における清算所得課税の通常所得課税への移行の影響について網羅的に解説しているところが実務家にとってありがたいところ。
先日、当ブログでもお知らせした、事業再生研究機構の税務問題委員会の「平成22年度税制改正後の清算中の法人税申告における実務上の取扱いについて」という提言についても言及。
http://www.shojihomu.co.jp/jabr/jabr.html
http://www.shojihomu.co.jp/jabr/iinkai/zeimu/seisan-shotoku-kazei100720.pdf
粉飾決算等を行っている会社のBS上の実在性のない資産の取扱いについてはやはり大きな問題です。
また、グループ法人税制の完全支配関係がある子法人が解散した場合についてもその対応策を含めフローチャート付で詳しく解説。
平成22年10月1日以降に解散した完全支配関係がある内国法人で親法人が発行済み株式等を有する子法人について、残余財産の分配を受けないことが確定した場合、親法人は、従来であれぱ当該子法人株式の簿価相当額を損失計上していましたが、平成22年度税制改正に伴い当該損失計上はできないこととなり、一定の要件を満たした青色欠損金は引き継けるものの、いわゆる期限切れ欠損金等は引き継げず、二重課税のリスクが生じるようになったのも大きな問題。
■上記から感じること
「週刊税務通信3133号 2010年10月04日」によると、10月から適用が開始される法人税関係法令の改正事項の取扱いについては、8月13日に質疑応答事例が公表されていますがその第2弾が近く公表される見込みで清算所得課税の廃止とセットで手当てされた「期限切れ欠損金の損金算入」について、法令通達では読み切れないような実務上の疑問に対する回答が盛り込まれる模様とのこと。
事業再生研究機構の税務問題委員会の提言、「平成22年度税制改正後の清算中の法人税申告における実務上の取扱いについて」を受けた、粉飾決算等を行っている会社のBS上の実在性のない資産の取扱いについての国税庁の見解を期待いたします。
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