これは面白い!非メインストリームに生きる中小企業経営者必読の書。日暮泰文「のめりこみ音楽起業―孤高のインディペンデント企業、Pヴァイン創業者のメモワール」
猛暑も過ぎ去り、仕事上も異常な状況が解消されつつあり、ようやく当ブログも再始動。
元々はブルース専門レーベルだったのが、クレイジーケンバンド(CRAZY KEN BAND)、トクマル シューゴ(Shugo Tokumaru)等の邦楽、スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)、アントニー&ザ・ジョンソンズ(ANTONY & THE JOHNSONS)等のUSインディーズへの進出と、近年のそのカタログの充実ぶりに目を見張らされてきたPヴァイン・レコード (P-Vine Records)。
同レーベルを有する株式会社ブルース・インターアクションズ(BLUES INTERACTIONS, INC.)の創業者である日暮泰文がその起業について語った、「のめりこみ音楽起業―孤高のインディペンデント企業、Pヴァイン創業者のメモワール」(2010年8月)が発売。
カタログの充実ぶりの秘密、クレイジーケンバンド(CRAZY KEN BAND)が移籍して同社は大丈夫なのかといった音楽的興味から手に取った同書ですが、中小企業経営の書籍としてこれが抜群に面白い。
非メインストリームに生きる中小企業経営者必読の書です。
私にとって、日暮泰文の印象は、長年の愛読誌である「ミュージック・マガジン(Music Magazine)」がまだ中村とうよう編集長の「ニューミュージック・マガジン(New Music Magazine)」だった頃の黒人音楽の強面のライター。
その後、黒人音楽専門誌「ブラック・ミュージック・リヴュー(Black Music Review)」の前身「ザ・ブルース(The Blues)」を発刊し、Pヴァイン・レコード (P-Vine Records)を立ち上げ、最初は良く続くなぁと関心。
近年は、クレイジーケンバンド(CRAZY KEN BAND)のブレーク、スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)等の私好みの音楽のカタログの充実は目を見張るものがあり、音楽ファンとしてすごいなぁという印象。
クレイジーケンバンド(CRAZY KEN BAND)が移籍しておやっと思っていましたが、どうやら2006年から2007年にかけて、JASDAQ上場の株式会社スペースシャワーネットワーク(SPACE SHOWER NETWORKS INC.)に全株を売却し、ハッピー・リタイアメントに成功。
同社の有価証券報告書の株式の取得価額を見ればわかるとおり、中小企業経営者としてはかなりハッピーなリタイアメントだった模様。
この本の面白さは、単なる音楽マニアの「のめりこみ」の「熱さ」の物語ではなく、父親が経営破たんした経験によるものなのか、常に冷静に経営判断を行っている日暮泰文の中小企業経営者の視点。
Pヴァイン・レコード (P-Vine Records)の強みは、少量しか売れないが粗利益率が高く長く売れる多種の商品群で、WEB時代にいたりいわゆる「ロングテール(The Long Tail)」としてその価値が上昇。
日暮泰文は、それを初めから狙っていたわけではなく、既成の商業的成功基準から外れているかもしれない自分たちが惚れ込んだブルースを紹介したいという強い「のめりこみ」と地道な努力がそのような商品群に結実。
「のめりこみ」つつも、局面局面においてあらわれる、冷静に経営判断せざるを得ない経営者としての顔がなかなか面白く、損益分岐点比率60%を目標とした固定費の管理、資金調達、本社移転、人の管理等、中小企業経営者ならそうそうとうなづける話の数々。
「ブルース」程ではないかもしれませんが、どこも非メインストリームに生きざるを得ないのが中小企業。
「のめりこんだ人々の心とどこかで本書と接点が生まれ、ライトに火が灯れば」と語る日暮泰文の成功ノート、「のめりこみ」つつも冷静に経営判断を行った経営者の書として、中小企業経営者必読です。
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