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待ってました!粉飾決算等を行っている会社のBS上の実在性のない資産の取扱いについての提言。事業再生研究機構「平成22年度税制改正後の清算中の法人税申告における実務上の取扱いについて」

 忙しくて、忙しくて、もはや瀕死の状態に陥った当ブログではありますが、ようやくできた仕事の合間を見計らって、久々のアップ。

 当ブログでも指摘させていただいておりましたが、平成22年税制改正で最も気になっていたのが、清算所得課税の通常所得課税への移行に伴う解散法人で仮装経理が行われていた場合の期限切れ欠損金の取扱。

 国税の公式見解ではありませんが、事業再生研究機構の税務問題委員会が、この7月に「平成22年度税制改正後の清算中の法人税申告における実務上の取扱いについて」という提言を公表。

 http://www.shojihomu.co.jp/jabr/jabr.html

 http://www.shojihomu.co.jp/jabr/iinkai/zeimu/seisan-shotoku-kazei100720.pdf

 さすが、同じ悩みを抱える実務家の諸先生方、粉飾決算等を行っている会社のBS上の実在性のない資産の取扱いについての提言に注目です。

 「平成22年度税制改正後の清算中の法人税申告における実務上の取扱いについて」による、粉飾決算等を行っている会社のBS上の実在性のない資産の取扱いについての提言は以下の通り。

■実在性のない資産の取扱いについて

 ①清算型の法的整理手続である破産又は特別清算の開始決定がなされた場合

 ②再生型の法的整理手続である民事再生又は会社更生の開始決定後、清算手続が
行われる場合

 ③公的機関が関与し、又は、一定の準則に基づき独立した第三者が関与して策定された事業再生計画に基づいて清算手続が行われる場合

 の過程では、管財人等の独立した第三者により会社財産の調査が行われる。

 この調査のなかで、粉飾決算等を行っている会社では貸借対照表上資産として計上されているが実際に存在しない資産の存在が見つかることがある。

 このような実在性のない資産は、実態貸借対照表上はないものとして評価されるため、債務超過額は実在性のない資産相当額分増加することとなり、これに伴い債権放棄額、債務免除益も増加することとなる。

 このような実在性のない資産の税務上の取扱いとしては、①②の場合ごとにそれぞれ以下のような取扱いとすることが適当であると考えられる。

①過去の帳簿書類を調査した結果、実在性のない資産の計上根拠等が判明した場合

 実在性のない資産の計上根拠等が判明しているため、適正な処理に修正をすることが適当であると考えられる。

 このうち、更正期限内のものについては、適正な処理に修正を行い、更正手続を経て当該原因の生じた事業年度の欠損金(その事業年度が青色申告の場合は青色欠損金、青色申告でない場合は期限切れ欠損金)とする。

 また、更正期限を超えるものについては適正な処理に修正して当該原因の生じた事業年度の欠損金(その事業年度が青色申告であるかどうかにかかわらず期限切れ欠損金)とする。

②過去の帳簿書類を調査した結果、実在性のない資産の計上根拠等が判明しなかった
場合

 裁判所または独立した第三者等が関与する手続を経て実在性のないことが確認された場合、実在性のない資産の帳簿価額を期限切れ欠損金とする。

■旧会社存続型についても言及

 本提言の素晴らしいところは、清算型法的整理等だけでなく、さりげなく旧会社存続型についても、3.考え方の理由の末尾の注)で言及(P6)しており、これもグッド・ジョブ。

 民事再生や会社更生の手続きに従って会社が存続して再生をする場合や、独立した第三者等が関与して事業再生計画を策定し会社が存続して再生する場合においても、実在性のない資産については同様の取扱いとすることが適当であると考えられる。

■上記から感じること

 最近の事業再生案件で思うのは、とくにかく不適切経理が複雑化、巧妙化しており、大手監査法人系コンサルティング会社の財務調査すら、出し抜かれてしまうような例も。

 また、新聞報道を見ても、循環取引の蔓延にも驚くばかりであり、日本は「粉飾列島」と化しているのかと空恐ろしくなるほど。

 そのような中、法的整理等において、粉飾決算等を行われていた場合は、正しく過年度の所得の更正を課税当局に促し、還付を受ける税金は還付を受け、その後の税務申告も適切に行うことは、我々事業再生に携わる我々税務会計専門家の極めて重要な役割であり、また腕の見せ所でもあります。

 事業再生研究機構の税務問題委員会の提言を受けた、国税の公式見解の公表が待たれます。

 

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