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平成22年(2010年)税制改正でこうなるNo.6。消費税の仕入税額控除の調整措置に係る適用の適正化

 民主党政権下で初めての平成22年度税制改正法案が、3月24日の衆議院本会議において可決・成立し、改正法に係る政省令も3月31日付で公布され4月1日から施行。

 前回からまたまたずいぶんと間が空いてしまいましたが、平成22年(2010年)税制改正によりどこがどう変わったのか概要を確認して行く「平成22年(2010年)改正でこうなる」シリーズの第6回。

 今回は、不動産の証券化等、私の業務に影響の大きい改正、消費税の仕入税額控除の調整措置に係る適用の適正化消費税の仕入税額控除の調整措置に係る適用の適正化についてです。

■従来の制度

【課税事業者の選択をする場合】

 免税事業者が、

 「消費税課税事業者選択届出書」を所轄税務署長に提出した場合、

 提出日の属する課税期間の翌課税期間以後の各課税期間について、

 課税事業者になることができます。

 免税事業者が課税事業者を選択した場合、

 課税事業者をやめようとするときは、

 「消費税課税事業者選択不適用届出書」を所轄税務署長に提出する必要があり、

 課税事業者となった初めての課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ

 事業を廃止した場合を除き提出できません。

【新設法人に対する特例】

 その事業年度の基準期間のない法人(社会福祉法人を除く)のうち、

 事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人(「新設法人」)については、

 その新設法人の基準期間がない事業年度(設立当初の2事業年度)における課税資産の譲渡等について、

 事業者免税点制度は適用されません。

■改正点

1.事業者免税点制度の適用の見直し

 簡易課税制度の適用を受ける課税期間を除き、

 次の期間中に、調整対象固定資産を取得した場合には、

 当該取得があった課税期間を含む3年問は、

 引き続き事業者免税点制度が適用されません。

 イ 課税事業者を選択することにより、事業者免税点制度の適用を受けないこととした事業者の当該選択の強制適用期間(2年間)

 ロ 資本金1,000万円以上の新設法人につき、事業者免税点制度を用しないこととされる設立当初の期間(2年間)

2.簡易課税制度の適用の見直し

 1.により、引き続き事業者免税点制度を適用しないこととされた課税期間については、簡易課税制度の適用が受けられません。

■適用時期

 1.イの改正は、平成22年4月1日以後に課税事業者選択届出書を提出した事業者の同日以後に開始する課税期間から適用されます。

 1.ロの改正は、平成22年4月1日以後設立された法人について適用されます。

■上記の改正から感じること

 当ブログでもご紹介のいわゆる「自販機還付」を制限するため、還付目的等で課税事業者を4月以降に選択したら、課税事業者及び簡易課税が3年間強制適用されることになり、詳細は省略しますが調整対象固定資産を取得し課税売上割合が50%変動した場合の調整により、結果的には還付を受けた消費税を、また返さなければならないように改正が行われました。

 それに伴い、従来、不動産証券化スキームにおいては、不動産を取得した事業年度は課税事業者として(資本金1,000万円未満の場合は課税業者を選択)、消費税の還付を受け、すぐに課税期間を例えば1ヶ月に短縮して簡易課税を選択し、不動産売却時に簡易課税又は免税を選択できる場合は選択し、投資に対するリターンを最大化するように、コストの一つである消費税を最小限にするタックス・プランニングが行われてきましたが、今後は不可能になりました。

 正直言って、良く考えたなぁとは思います。

 しかし、政策的に設けられた非課税、免税業者、簡易課税といった制度は不自然であると言わざるを得ず、極力原則的な課税方法に統一するというのが本来は望ましい改正ではないでしょうか。

 賃貸住宅事業者としても、他にも医業などもそうですが、消費税創設時には非課税となり良かったと思ったら、賃貸住宅建設時や医療機器の購入時の多額の消費税が控除できず、実際は消費者に長期にはなりますが価格転嫁すればよいのですが、あたかも過度の税負担を負わされているような印象を持たざるを得ないのではないかと思われます。

 今後の消費税法の抜本的な改正に期待させていただきます。

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コメント

消費税のこの問題について
まず消費税の負担者は消費者であることが大前提と私は考えております。そうかんがえるならば還付を受けるスキーム自体はべつに文句をつけるものではないと思います。
賃貸用マンションの消費者はそこに住む居住者が最終的な消費者でありその消費者から徴収する家賃は非課税。
このスキームを認めない場合最終的には家賃に消費税が賦課される結果となり非課税の規定のそもそも論が崩れてしまうのではないでしょうか?輸出免税と同じように仕入れ税額控除認めるべきだと思います。

じゃあ非課税の趣旨はいったいなんなのか?って思っちゃいます。
非課税売上に対応する課税仕入について仕入れ控除認めないと、その先の消費者に消費税の負担をしてもらわないと事業者は成り立たず、最終的に消費者に消費税が賦課される結果となる(じゃあ非課税って?)
仕入れ控除できない分を価格転嫁すると非課税の意味はなくなるのではないか?

税理士試験のためにいろいろ検索していたらたまたまブログ見てしまってコメントしたくなっちゃいました。

投稿: 事業税の受験生 | 2010年7月29日 (木) 00時23分

事業税の受験生さん、コメントありがとうございます。
「輸出免税と同じように仕入れ税額控除認めるべき」、
「仕入れ控除できない分を価格転嫁すると非課税の意味はなくなるのではないか?」
鋭いご指摘だと思います。
原則課税一本にして、医療等公益性の高いものは0%税率にするのが理論的でしょうね。
どうも、イギリス等ではそのような制度がとられているようです。
(国立国会図書館調査及び立法考査局「諸外国の付加価値税(2008年版)」http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/document/2008/200804.pdf

投稿: Accounting&Music | | 2010年7月31日 (土) 23時42分

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