平成22年(2010年)税制改正でこうなるNo.5。租税特別措置法の見直し
民主党政権下で初めての平成22年度税制改正法案が、3月24日の衆議院本会議において可決・成立し、改正法に係る政省令も3月31日付で公布され4月1日から施行。
だいぶあいだが空いてしまいましたが、前回に引き続き、平成22年(2010年)税制改正によりどこがどう変わったのか概要を確認して行く「平成22年(2010年)改正でこうなる」シリーズの第5回。
今回は、民主党のマニュフェストの目玉のひとつでもあった租税特別措置法の見直しですが、ほとんどの制度が存続となりました。
■主な租税特別措置法の見直しの概略
【情報基盤強化税制の廃止】
平成22年(2010年)税制改正では、租税特別措置法の優遇措置のほとんどが存続となりましたが、情報基盤強化税制は、平成22年3月31日の適用期限をもって廃止となりました。
【中小企業基盤強化税制の拡充】
廃止となった情報基盤強化税制と類似の内容が、青色申告書を提出する資本金1億円以下の中小企業者等については、中小企業基盤強化税制の情報基盤強化設備等に係る措置として、拡充されました。
【試験研究費に係る特別税額控除制度】
増加・高水準型制度(時限措置)について、平成24年3月31日まで適用期限が2年延長されました。
【中小企業投資促進税制】
平成24年3月31日まで適用期限が2年延長されました。
【中小企業者等の少額減価償却資産の特例】
平成24年3月31日までの取得に、適用期限が2年延長されました。
平成24年3月31日までに開始する事業年度に、適用期限が2年延長されました。
■上記から感じること
さすがに不人気要因となる政策はとりずらかったのか、ほとんどが残った租税特別措置法の優遇措置ですが、その適用を受けるために余分にキャッシュ・アウトしたのでない限り、「お金の出ない節税」につながるものが多くあります。
すなわち、試験研究を行い一定の条件を満たしていれば税金が安くなる、中小企業者等が機械等を買い一定の条件を満たしていれば税金が安くなるといった規定があるため、条件を満たすようにすれば、あるいは適用を忘れなければ税金が安くなる可能性があるというものです。
逆に「お金の出る節税」とは、税金を減らそうと損金となる費用の支出を増額してしまうような節税であり、我が国の法人税等の実効税率は一般に40%程度ですから、節税はしてみたけれどもそれ以上にお金がなくなっていたという「本末転倒」の結果となることが多いのです。
ところが、これらの「お金の出ない節税」は、今までいろいろな申告書を作成しかつ拝見してきた経験で言わせていただきますと、適用忘れが結構あるのではないかということです。
適用できる事実が発生するのに見落としたり、租税特別措置法は難解な税法の中でも特に読みにくく解釈を誤って適用できない可能性があるからです。
我々税務会計の専門家だけでなく、経営者の皆様も自分の会社の「お金の出ない節税」に漏れがないか常に確認する必要があると思われます。
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