法的整理の税務の名著の平成22年税制改正に対応した待望の改訂版。稲見誠一(著)、佐藤信祐(著)「ケース別にわかる企業再生の税務≪第2版≫」
以前に当ブログでもご紹介しましたが、会社更生法・民事再生法・私的整理の税務について、最も正確かつ的確な内容ではないかと思われる専門書が、稲見誠一(著)、佐藤信祐(著)「ケース別にわかる企業再生の税務―会社更生法・民事再生法・私的整理」(2005年7月)。
昨年、当ブログでご紹介させていただいたように、研修カセット・CD・DVD販売の株式会社レガシィ(旧FPステーション)より、公認会計士佐藤信祐(講師)「企業再生で顧問先を救う 法的整理の税務 全3巻」(カセット・CD・DVD)(2009年6月)が発売され、同書の改訂版が待たれていたところ。
そして、平成22年税制改正に対応する形で登場したのが、待望の改訂版、稲見誠一(著)、佐藤信祐(著)「ケース別にわかる企業再生の税務≪第2版≫」(2010年6月)。
事業再生の税務に携わる専門家なら、絶対に手許においておきたい必携書です。
■第2版で新たに加筆された項目
【ファイナンスリース取引】
会社更生法の財産評定時にオン・バランスさせた、法人税法上売買処理ではなく賃貸借処理の継続が要求される平成20年3月31日以前に締結した所有権移転外ファイナンス・リース取引について、財産評定損失に相当する金額に関し、会計と法人税法上の所得計算とで差異が生じることにつき注意喚起。
他書ではみかけたことがない論点だと思います。
【租税債権の減免】
実は明文の規定がなく実務上も判断に迷うところでありますが、法人税法第26条第1項において、法人税、住民税の還付金について益金の額に算入しないことが明らかにされていることから類推し、法人税、住民税の減免について生じた債務免除益についても益金の額に算入する必要はないと考えられると明記。
これも、他書ではみかけたことがない論点だと思います。
【償却資産税における論点】
固定資産税における償却資産の評価については、資産の評価損失は考慮されない点について注意喚起。
この論点は、以前にご紹介した、固定資産税研究会「償却資産の実務 100問100答 増補版」(2003年)などでも触れられている論点です。
【再生途上のオーナーが死亡した場合における税務】
公認会計士佐藤信祐(講師)「企業再生で顧問先を救う 法的整理の税務 全3巻」(カセット・CD・DVD)(2009年6月)でも触れられていましたが、相続放棄→相続財産法人の設立→相続財産法人からの株式買取・債務者企業からの事業譲受等の再生スキーム等のにつき言及。
他書ではみかけたことがない、かなり高度な論点だと思います。
「ケース別にわかる企業再生の税務」、継続的な改訂を今後も期待させていただきます。
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