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平成22年(2010年)税制改正でこうなるNo.1。特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度(いわゆる実質一人会社増税)の廃止

 民主党政権下で初めての平成22年度税制改正法案が、3月24日の衆議院本会議において可決・成立し、改正法に係る政省令も3月31日付で公布され4月1日から施行。

 本年も、複数回にわたって、税制改正によりどこがどう変わったのか概要を確認して行きたいと思います。

 まずは、どうも「鶴の一声」があったようですが、突然最後に決まった、特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度(いわゆる実質一人会社増税)の廃止についてです。

■従来の制度

 「特殊支配同族会社」とは、 簡単に言うと、

 オーナー及びその同族関係者等が

 株式の90%を保有し

 常務に従事する役員の総数の過半数を占める

といった一定の要件に該当する同族会社をいいます。

 「特殊支配同族会社」は、実質一人会社として、個人事業者との課税の公平性の観点から、業務主宰役員に対して支給する給与の額のうち、給与所得控除額に相当する部分の金額は損金の額に算入されませんでした。
  ただし、特殊支配同族会社の基準所得金額が1,600万円(一定の場合には3,000万円)以下である事業年度などについては、適用されませんでした。

■改正点

 制度自体が廃止されました。

 ただし、平成21年12月22日付税制改正大綱によると、特殊支配同族会社の役員給与に係る課税のあり方については、いわゆる「二重控除」の問題を踏まえ、給与所得控除を含めた所得税のあり方について議論をしていく中で、個人事業主との課税の不均衡を是正し、「二重控除」の問題を解消するための抜本的措置を平成23年度税制改正で講じるとされています。

■適用時期

 平成22年(2010年)4月1日以後に終了する事業年度より廃止となりました。

■上記から感じること

 特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度は、他の特殊支配同族会社における業務主宰役員給与がある場合には、損金不算入額が過大とならないような特例計算がありました。

 ところが、他の特殊支配同族会社における業務主宰役員給与ではない給与所得がある場合には、そのような特例計算はなく、個人では当該金額全額が給与所得控除を受けられるわけでもないのに、法人では二重控除を排除するといって損金不算入になるのは、明らかに二重課税であり問題がありました(このことはなぜか指摘しているのを見たことがなく個人的には不思議に思っていましたが)。

 あまり出来の良い制度とは言えなかった特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度が廃止となったのは、中小企業にとっては喜ばしいことです。

 平成23年度税制改正で講じると言われる抜本的措置については要注意で、どうも給与所得控除が適用できる所得の上限を3,000万円あたりにする案が有力なようです。

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