これも深刻なデフレ不況の影響なのでしょうか?華麗なるフュージョン野郎の新作も少し地味。冨田ラボ(Tomita lab)「シップアヘッド(Shipahead)」
冨田ラボ(Tomita lab)の、不況の音楽業界最後の砦とも言うべきエイベックス(Avex)はリズム・ゾーン(Rhythm Zone)へ移籍後の待望の新作アルバムにして、「Shipシリーズ3部作」の完結編となる「シップアヘッド(Shipahead)」(2010年2月)が発売。
これも深刻なデフレ不況の影響なのでしょうか、トライセップ グラフィックス(Tricep Graphics)のDUKE OKADAこと岡田京介のゴージャスなジャケット・デザインとは裏腹に、さしもの華麗なるフュージョン野郎の新作も、前2作と比べ少し地味な印象です。
冨田ラボ(Tomita lab)作品の大きな楽しみのひとつが、作詞家、歌い手の人選の妙。
今回は、何といっても、2曲目「ペドロ~消防士と潜水夫 feat. 佐野元春」での、作詞のムーンライダーズ(Moonriders)の鈴木慶一と歌い手の佐野元春の組み合わせが驚き。
その昔、佐藤奈々子が惚れ込んだ二つの才能の共演、ムーンライダーズ(Moonriders)の結成20周年CD-ROM+2CDセット「Damn! moonriders」(1997年)で佐野元春がコメントを寄せていた以外は、私が知る限りではおそらく初めてではないでしょうか?
・You Tube上の、2曲目「ペドロ~消防士と潜水夫 feat. 佐野元春」のプロモーション・ビデオ
http://www.youtube.com/watch?v=kf11HhahVgs
鈴木慶一、佐野元春、両者のファンである私にしてみると、大変申し訳ありませんが消化不良な印象。
ただし、本アルバムの発売に合わせ再開した冨田ラボ(Tomita lab)ブログの解説によると、ヴォーカルは終始オクターヴ・ユニゾンという80’ブリティッシュ・アプローチ、ギターはアラン・ホールズワース(Allan Holdsworth)とのことですが、そこが何ともムーンライダーズ(Moonriders)っぽく、佐野元春のコーラスが実は鈴木慶一と似ていることが意外な発見。
・You Tube上のプロモーション・ビデオをもう1曲、「あの木の下で会いましょう feat.安藤裕子」。
http://www.youtube.com/watch?v=hkoScydLu6E
オリジナル・プレシジョン・ベースなのか、テレキャスベースなのか私にはよくわかりませんが年代物のベースで奏でる、チャック・レイニー(Chuck Rainey)的ダブル・ノートは正に冨田ラボ(Tomita lab)節で快感。
若い頃、相当練習をしたらしい、ベーシスト、冨田ラボ(Tomita lab)の上手さを再確認。
全体的に、「シップビルディング(Shipbuilding)」(2003年)、「シップランチング(Shiplaunching)」(2006年)と比べると地味な印象の「シップアヘッド(Shipahead)」(2010年2月)ですが、新たな展開を感じさせるのが、冨田ラボ(Tomita lab)ブログの解説によると、ランディ・ニューマン(Randy Newman)のことを考え「大丈夫だった頃のアメリカ」を懐かしんで書いたというガーシュイン的イントロの「夜奏曲 feat. 一十三十一」。
そのただならぬ音楽へのフェティシズムは他を寄せ付けない感がある冨田ラボ(Tomita lab)、ジャズ・フュージョンにとどまらず、次回作はアメリカ音楽絵巻的方向に期待したいところです。
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コメント
はじめまして。
何気なく検索したら、ここにたどりつきました。
私も(まだ若輩者ですが)同業者で、音楽とベースがとにかく大好きな者です。
私も冨田ラボ大好きです!
「あの木の下で会いましょう feat.安藤裕子」のベース良いですね。
冨田ラボの曲は歌ももちろんですが、全般的に曲の完成度が高くて好きです。
特にシップビルディングの「香りと影」が好きです。
これからいろいろチェックさせていただきます。
よろしくお願いします。
投稿: 音楽好きな会計士(準会員) | 2011年2月22日 (火) 23時10分
音楽好きな会計士(準会員)さん、コメントありがとうございます。
冨田ラボの過剰かつ筋金入りのフュージョン・サウンド、最高ですね。
なかでも、冨田ラボプロデュースによるキリンジは格別、復活を熱望いたします。
今後ともよろしくお願いします。
投稿: Accounting&Music | 2011年2月23日 (水) 00時34分