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史上最高の売上げを誇るポップ・ロック・デュオの、フィリー・ソウルを押し広げ続ける素晴らしき音楽人生物語を味わい尽くせる好企画。ダリル・ホール&ジョン・オーツ(Daryl Hall & John Oates)「ドゥ・ホワット・ユー・ウォント、ビー・ホワット・ユー・アー(Do What You Want Be What You Are: The Music of Daryl Hall & John Oates)」

H220112do_what_you_want_be_what_you 史上最高の売上げを誇るポップ・ロック・デュオ、ダリル・ホール&ジョン・オーツ(Daryl Hall & John Oates)の音楽人生を振り返る4枚組全74曲入りボックス・セット、「ドゥ・ホワット・ユー・ウォント、ビー・ホワット・ユー・アー(Do What You Want Be What You Are: The Music of Daryl Hall & John Oates)」(US:2009年10月、JP:2009年11月)が発売。

 音圧を重視しない渋めのリマスターが施された本作、ロイ・トレイキン(Roy Trakin)による本人達、関係者の証言を織り込んだ素晴らしいブック・レット(日本盤は日本語訳付)を片手に、フィリー・ソウルを押し広げ続けるホール&オーツの素晴らしき音楽人生物語を味わい尽くせる好企画です。

H210705  当ブログで何回か指摘させていただいておりますが、私が一番好きなアルバムを1枚挙げろと言われたら何と言っても、ダリル・ホール&ジョン・オーツ(Daryl Hall & John Oates)「モダン・ポップ(X-STATIC)」(1979年)。

 ところが、実は、ホール&オーツというアーティストは、好きな時もあればそうでもないときもあるという、私にとってはかなりムラを感じるアーティスト。

 また、そもそも、「モダン・ポップ(X-STATIC)」もそうなのですが、何を考えているのかよくわからないところも感じるアーティストでもあり、「ドゥ・ホワット・ユー・ウォント、ビー・ホワット・ユー・アー(Do What You Want Be What You Are: The Music of Daryl Hall & John Oates)」(US:2009年10月、JP:2009年11月)は、彼らを理解する良い機会。

H220112hit_man  本作のブックレットでわかった最大の発見は、トト(TOTO)のデヴィッド・ペイチ (David Paich) が当初依頼されたものの受けられず、当時ホール&オーツのマネジメントをしていたトミー・モトーラ(トミー・モットラ Tommy Mottola)に推薦したことが、「赤い断層(Along The Red Ledge)」(1978年)及び「モダン・ポップ(X-STATIC)」(1979年)でデヴィッド・フォスター(David Foster)がプロデュースするきっかけとのこと。

 日本で時を同じくして刊行された、デヴィッド・フォスター(David Foster)ヒットマン デヴィッド・フォスター自伝(HIT MAN)」(US:2008年11月、2009年11月)にも同様なことが、書かれていますので間違いないようです。

 そして、本作のブックレットのデヴィッド・フォスター(David Foster)やジョン・オーツの証言によると、デヴィッド・フォスター(David Foster)はR&B的方向を提案し、ホール&オーツはロック的方向を提案し、現場ではホール&オーツ主導で作業が行われたらしく、もう自分達でプロデュースするよう示唆したのがデヴィッド・フォスター(David Foster)だった模様。

 「モダン・ポップ(X-STATIC)」の記事でも指摘しましたが、同アルバムはどうも、参加者、時代等の様々な要因が化学反応を起こして生まれた偶然的な奇跡のアルバムという私の見解が裏付けられたような気がいたします。

 ところで、音的な面での発見は、本ボックス・セットDISC-1 16曲目から20曲目にかけての1975年のロンドンはニュー・ビクトリア・シアター(The New ZVictoria Theatre)での未発表ライヴ音源の素晴らしさ。

 D:エディ・ザイン(Eddie Zyne)、B:スティーヴン・ディーズ(Stephen Dees)、G:トッド・シャープ(Todd Sharp)のタイトなリズム・セクションが最高で、ホール&オーツ史上、最強のライヴ・バンド。

 特に、ブックレットでホール&オーツも証言しているように、当時ハイ・スクールを出たばかりだったらしいトッド・シャープ(Todd Sharp)のギターの切れ味の良さは実に小気味よい。

 You Tube上で発見した、同様のメンバーによる、1977年、ドイツのTV番組「MusikLaden」でのライヴ映像。

・「リッチ・ガール(Rich Girl)」

 http://www.youtube.com/watch?v=jAoVNxQHR9s

 ホール&オーツ初の全米No.1ヒットです。

・「ドゥ・ホワット・ユー・ウォント、ビー・ホワット・ユー・アー(Do What You Want Be What You Are)」

 http://www.youtube.com/watch?v=e6cGR9VDY08

 そういえば、宮川弾(Dan Miyagawa)「ニューロマンサー(Newromancer)」(2009年1月)のジャケットはこのアルバムからの引用だった「ロックン・ソウル(Bigger Than Both Of Us)」(1976年)収録曲。

 自分らしく生きてとにかくやってみればいいんだという歌詞が、自分達の哲学を要約していることから、本ボックス・セットのタイトルにも採用された曲。

・「ジーノ(Gino The Manager)」

 http://www.youtube.com/watch?v=of4Xk2ju2b4

 当時のホール&オーツのマネージャー、トミー・モトーラ(トミー・モットラ Tommy Mottola)のことを歌った曲。トミー・モトーラは、その後、マライア・キャリー(Mariah Carey)の元夫、マイケル・ジャクソンと大喧嘩した元ソニー・ミュージックエンタテインメントCEOとして、業界の超大物に。

・「サラ・スマイル(Sara Smile)」

 http://www.youtube.com/watch?v=bLRMEsgM-Lc

 全米第4位のヒット、これぞフィリー・ソウル・マナー。

 「物語」性のある素晴らしいボックス・セット、フィリー・ソウル・デュオとしてのホール&オーツのファンの方なら、見逃せません!

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