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遺書の全文が掲載され、特に生い立ち、料理・ワイン、車について充実の直近インタビュー。加藤和彦(著)「加藤和彦ラスト・メッセージ」

211217  最近の停滞ぶりからうっかり忘れていましたが、少年時代、自分の趣味形成にあたって実は最も影響を受けたのかもしれないことを、その死により気がつかされた加藤和彦。

 2007年11月に加藤和彦から直接指名を受けたという、松山猛の元アシスタントにして現在は「食」を中心とする出版・広告に携わっておられる松木直也氏の聞き手・構成によるインタビュー本、加藤和彦(著)「加藤和彦ラスト・メッセージ」が発売。

 私が知りたかった遺書の全文が掲載され、特に生い立ち、料理・ワイン、車について充実した、インタビュー本です。

 この本の最も注目すべき点は、葬儀の来場者に公開された加藤和彦の遺書の全文の写真が掲載されていること。

 「今日は晴れてよい日だ。こんな日に消えられるなんて素敵ではないか。・・・」から始まる遺書の全文は、ぜひ本書を購入してご覧になっていただきたいのですが、レター・ヘッドから字体に至るまで、加藤和彦らしいスタリッシュさ。

211217_book 表紙は、写真家三浦憲治による、リバティ・プリントらしき壁紙がこれまたスタイリッシュな六本木の自宅マンションのプライベート・スタジオでの写真。

 ちなみに、加藤和彦は2007年頃に引っ越しており、以前は地下室に本棚のある商業用クラスのスタジオ付の、何と六本木の一戸建で、「プライベートスタジオ・デザインBOOK(ブック) SOUND DESIGNER 2009年 08月号増刊」(2009年)に新旧スタジオが紹介されているので、コアなファンはお見逃し無く。

 私は、昨年頃、偶然、講談社のセオリー・シリーズの富裕層本(どの本だったか思い出せないのですが)を見ていたら、六本木の地下スタジオ付の一戸建の売物件についての話が掲載されていて、これは加藤和彦の家のはずだがどうしたんだろと心配になったことを思い出します。

 また、裏表紙の写真は、2003年8月の原宿のBEAMS店舗で開催された「ビスポーク スタイル展”音楽家が恋した仕立て屋の服”」のために同年6月に軽井沢で撮影されたもの。

 加藤和彦が後年愛用していたのが、ロンドンの「ファーラン&ハービー(FALLAN&HARVEY)」のビスポーク・スーツとジョージ・クレバリー(GEORGE CLEVERLEY)のビスポーク靴で、当該イベントを紹介した男性ファッション誌(何だったか思い出せないのですが)に語っていたところによると、双方ともビームス(BEAMS)からの紹介だったという点が海外にすぐ飛んで行きそうな加藤和彦にしては意外。

 ジョージ・クレバリー(GEORGE CLEVERLEY)については、音楽界では、ローリング・ストーンズ (The Rolling Stones)のチャーリー・ワッツ(Charlie Watts)に次ぐコレクターとの噂もありましたが。

 盟友にして一流の分析者、北山修の前文の、「作曲し演奏し歌い録音しながら編集する音楽家としてだけでなく、グルメでありながらの料理をするコック、モデルをやりながらのデザイナーであり、普通はあり得ない役割を両立させる天才だった」との言葉が、加藤和彦の才能を言い得て妙。

 特に本書で充実しているのは、シェフ三國清三の伝記「ミクニの奇跡」の著者でもある松木直也氏が聞き手であるからか、料理・ワインについて。                

 1970年代から、現代の白州次郎かというぐらい浮世離れしたライフ・スタイルで度肝を抜いてきた加藤和彦らしく一流店、一流シェフとの交流はさすがの一言。

 車の話も、景山民夫と一緒にロールス・ロイスをロンドンに買いに行って、当時の奥さんのミカに乗らせていたのは有名な話ですが、加藤和彦自身は40歳の夏まで免許を取っておらず、それまでは誰かに運転させていたという話にはそのスケールの大きさに本当にびっくり。

211217_16_3 本書は、十分な時間がなかったのか、ファッションについてはほとんど言及がなく、音楽についてももう少し語って欲しかったという印象。

 ただし、本書で知った、You Tube上の高中正義のギターによる加藤和彦追悼の映像。

 「さよなら」

 http://www.youtube.com/watch?v=J6f_vcsyfkM

 「黒船」

 http://www.youtube.com/watch?v=AKvzj6eiQb8

211217_17_2 音楽については、「ロック画報 (16) 特集 ザ・フォーク・クルセダーズ リターンズ」(2004年6月)、「ロック画報 (17)特集 めんたいビート」(2004年9月)の2号に渡って掲載された、田口史人氏によるインタビューがより詳しく、本書と合わせて目を通したいところ。

 忌野清志郎に比べて何だかさびしい気がする、何もなかった日本のフォーク・ロックの荒野を切り開いた天才、加藤和彦の追悼企画、書籍でもCDでも期待したいと思います。

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