中小企業の事業再生の手法の選択肢がまたひとつ増えました。「中小企業金融円滑化法」成立。
「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」、いわゆる「中小企業金融円滑化法」が、2009年11月30日成立。
http://www.fsa.go.jp/common/diet/173/index.html
亀井金融相の肝いりの「平成の徳政令」、モラルハザードにつながる、金融機関からの借入がさらに難しくなるとの批判も多く、どうなるのか注目でしたが、2009年12月1日付の日本経済新聞の報道によれば、とりあえずは、現実的な内容の模様。
中小企業の事業再生の手法の選択肢がまたひとつ増えました。
■対象
・債務者
中小企業者
中小企業基本法の「中小企業者」から、
金融機関の親・子・兄弟・関連会社、
大会社の子会社
を除く。
住宅資金借入者
・金融機関
銀行、信用金庫、信用協同組合等。
■期間
2011年3月末までの時限措置(景気動向次第で延長の可能性有)。
■金融機関の努力義務
中小企業者や住宅資金借入者から
債務の弁済に係る負担の軽減の申込みがあった場合には
できる限り条件変更等負担の軽減に資する措置をとるよう
金融機関に努力義務を課す。
■金融機関自らの取り組み
・必要な体制の整備
貸付条件の変更等の措置を適正かつ円滑に行うことができるよう義務付ける。
・取り組み状況の開示
銀行は3ヵ月ごと、その他は半年ごとに条件変更に応じた件数、金額を報告・開示。
断った場合も同様。
虚偽の開示・報告には1年以下の懲役か300万円以下の罰金。
■不良債権の分類基準の緩和
経営再建の可能性があれば不良債権に分類しなくてもよいように金融検査マニュアルを改定。
■行政上の対応
来年度にも集中検査を実施。
合理的な理由がなく条件変更を断れば行政処分の発動も可能性有り。
■上記から感じること
亀井金融相の当初の発言には少々驚かされ、モラルハザードにつながる、金融機関からの借入がさらに難しくなるとの批判も多く、どうなるのか注目だった「平成の徳政令」ですが、とりあえずは、現実的な内容であり、中小企業の事業再生の手法の選択肢がまたひとつ増えたことを素直に喜んでいいのではないでしょうか。
我々、中小企業経営者、あるいは中小企業経営をお手伝いさせていただいて税務会計専門家としては、まずは新しい「ルール」を理解し、より良い中小企業経営に役立てて行きたいと思います。
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