ボーナス・トラックの幻想列車(Home Demo)が最高です。カーネーション(CARNATION) 「LOVE SCULPTURE(Deluxe Edition)(ラブ・スカルプチャー・デラックス・エディション)」
カーネーション・オフィス(CARNATION OFFICE)とコズミック・シー・レコーズ(COSMICSEA RECORDS)を新たに立ち上げ、待望の新作スタジオ・アルバム「Velvet Velvet」(2009年11月)を発表し、転がり続けるカーネーション(CARNATION)。
直枝政広(直枝政太郎)のパワーにはとにかく驚きますが、カーネーション(CARNATION)の前身、耳鼻咽喉科の幻の音源「偉大なる2年 Anthology 1981-1983」 の初CD化とともに、コロムビア在籍時(1994~2000)のオリジナル・アルバム7タイトルを、貴重なデモ音源・アウトテイク・入手困難となったシングルC/W曲・未発表ライブ等を収録したボーナス・ディスク付2枚組エディションとして、2009年最新リマスターで再発。
全作聴きなおして、一番気に入ったのは、山本ムーグ&マリコのサイケなジャケット・デザインが印象的な上田ケンジ&CARNATIONプロデュース作、カーネーション(CARNATION) 「LOVE SCULPTURE(Deluxe Edition)(ラブ・スカルプチャー・デラックス・エディション)」(オリジナル:2000年、デラックス・エディション:2009年12月)。
私は、ボーナス・トラックはマニア向けなものが多くあまり好きではないのですが、「幻想列車(Home Demo)」は最高です。
カーネーション(CARNATION)のコロムビア在籍時デラックス・エディションですが、ボーナス・トラックを完全にオリジナル・アルバム部分と別ディスクにしているところもポイントが高く、オリジナル・アルバム終了後にボーナス・トラックが続くという余韻の悪さが無い。
「幻想列車(Home Demo)」は、「LOVE SCULPTURE(ラブ・スカルプチャー)」(2000年)収録のバージョンと比べ、エレキ・ギター弾き語り的印象の強いバージョン。
哀愁に満ちながらも洗練されたスケールの大きさを感じさせる詩と、ちょっと演歌調の曲がHome Demoバージョンにぴったりとマッチ。
以前ご紹介した、私が大好きな直枝政広名義の「BUFFALO(バッファロー)」と同様、谷村新司、長淵剛の世界と近いようでありながら、おそらく直枝でないとできない洒落た演歌ロックです。
「幻想列車」に限らず、「LOVE SCULPTURE(ラブ・スカルプチャー)」には、素晴らしい曲が満載で、アルバムとしての完成度も極めて高いと思います。
1曲目「MOTORCYCLE&PSYCHOLOGY」は、2009年1月末日をもって脱退してしまったドラマー、矢部浩志作曲のビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)へのオマージュ溢れる傑作。
この曲から政太郎から政広という本名に戻したらしい先行シングルだった、10曲目「Real Man」も、「トッドのモダン・ポップ黄金狂時代(The Ever Popular Tortured Artist Effect)」(1983年)あたりのトッド・ラングレン(Todd Rundgren)を彷彿とさせるサウンド(あまり耳にしないタイプですが)のこれまた傑作曲。
You Tube上の10曲目「Real Man」のプロモーション・ビデオ。
http://www.youtube.com/watch?v=vR_LU8SsWtk
「レコード・コレクターズ 2010年 1月号」の岡村詩野氏による直枝政広へのインタビューによると、1999年から2000年くらいは、ソロ名義でインディーズのバンブル・ビー・レコード(BUMBLEBEE RECORDS)を始めたり一番模索していた時期かもしれないと直枝自ら語り、岡村詩野氏も逆境に見舞われるたびにバンドの本質が磨かれて屈強になってきていると指摘するカーネーション(CARNATION)。
カーネーション(CARNATION)は、私とほぼ同世代のバンドなのですが、1980年代中頃当時は、こんな素晴らしいバンドに成長するとは、大変申し訳ありませんが思わなかったのが正直なところ。
演奏の完成度・多彩さで行けばPINK(ピンク)、オリジナルティで行けば杉林恭雄率いるくじらなどの方が輝いて見えたものです(これまた大変失礼ながら、初期ピチカート・ファイヴは問題外のように思え、ケンさんは存在すら知りませんでしたが)。
年輪とともに磨かれて行くカーネーション(CARNATION)のこれぞ大人のロック、今後も期待させていただきます。
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