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不動産証券化への影響にもご注意。消費税、導管性要件、登録免許税についての改正。平成22年税制改正大綱(2010年税税制改正大綱)。

 先日もご紹介したように、平成21年12月22日、政府は平成22年税制改正大綱(2010年税税制改正大綱)を決定。

 http://www.cao.go.jp/zei-cho/etc/pdf/211222taikou.pdf

 今回は、消費税の仕入税額控除の調整措置に係る適用の適正化、特定目的会社に係る課税の特例等における導管性要件の改正、特定目的会社が特定不動産を取得した場合等の登録免許税の軽減の見直し等、不動産証券化への影響についてご紹介。

 特に、消費税の仕入税額控除の調整措置に係る適用の適正化は、不動産証券化スキームへの大きな影響がありそうです。

■消費税の仕入税額控除の調整措置に係る適用の適正化

・平成22年税制改正大綱(2010年税税制改正大綱)

第4章 平成22年度税制改正

6.消費課税

①消費税の仕入控除税額の調整措置に係る適用の適正化

 消費税の課税の適正化の観点から、調整対象固定資産の取得に係る仕入控除税額が過大であった場合に減額する調整措置の対象となるよう、次の見直しを行います。

イ 事業者免税点制度の適用の見直し
 次の期間(簡易課税制度の適用を受ける課税期間を除きます。)中に、調整対象固定資産を取得した場合には、当該取得があった課税期間を含む3年間は、引き続き事業者免税点制度を適用しないこととします。

  (イ) 課税事業者を選択することにより、事業者免税点制度の適用を受けないこととした事業者の当該選択の強制適用期間(2年間)

  (ロ) 資本金1,000万円以上の新設法人につき、事業者免税点制度を適用しないこととされる設立当初の期間(2年間)

 (注1)上記の改正は、(イ)に該当する場合には平成22年4月1日以後に課税事業者選択届出書を提出した事業者の同日以後開始する課税期間から適用し、(ロ)に該当する場合には同日以後設立された法人について適用します。

 (注2)調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で100万円(税抜き)以上のものをいいます。

ロ 簡易課税制度の適用の見直し
 イにより、引き続き事業者免税点制度を適用しないこととされた課税期間については、簡易課税制度の適用を受けられないこととします。

・筆者による補足説明

 従来、不動産証券化スキームにおいては、不動産を取得した事業年度は課税事業者として(資本金1,000万円未満の場合は課税業者を選択)、消費税の還付を受け、すぐに課税期間を例えば1ヶ月に短縮して簡易課税を選択し、不動産売却時に簡易課税又は免税を選択できる場合は選択し、投資に対するリターンを最大化するように、コストの一つである消費税を最小限にするタックス・プランニングが行われてきました。

 主として当ブログでもご紹介のいわゆる「自販機還付」を制限するため、還付目的等で課税事業者を4月以降に選択したら、課税事業者及び簡易課税が3年間強制適用されることになり、不動産証券化スキームにおける上記のタックス・プランニングも今後は採用不能となります。

■特定目的会社に係る課税の特例等における導管性要件の改正

・平成22年税制改正大綱(2010年税税制改正大綱)

第4章 平成22年度税制改正

3.法人課税

(3)租税特別措置等

〔国税〕

 ⑮特定目的会社に係る課税の特例等における導管性要件について、国内募集割合を50%超とする要件の対象から特定社債を除外し、特定出資を追加する等の見直しを行います。

・筆者による補足説明

 平成21年11月26日付の「平成22年度税制改正要望について(評価結果に対する意見等)」によると、海外から我が国への投資を促進させる観点から金融庁が要望した改正のようです。

 国内募集割合を50%超とする要件の対象から特定社債を除外することは、要望通りですが、特定出資を追加することはそれとは逆の適正化の観点からの改正であり、金融庁も既存の特定目的会社に影響を与えないよう経過措置を設けることを要望しているようです。

■特定目的会社が特定不動産を取得した場合等の登録免許税の軽減の見直し

・平成22年税制改正大綱(2010年税税制改正大綱)

第4章 平成22年度税制改正

5.資産課税

(2)租税特別措置等

〔国税〕

(廃止・縮減等)

 ⑧特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用対象となる不動産から倉庫及びその敷地を除外するとともに、所有権の移転登記の軽減税率(現行1,000分の8)にあっては、次の見直しを行った上、その適用期限を3年(質権又は抵当権の移転登記にあっては1年)延長します。

 平成22年4月1日から平成23年3月31日まで 1,000分の8

 平成23年4月1日から平成24年3月31日まで 1,000分の11

 平成24年4月1日から平成25年3月31日まで 1,000分の13

・筆者による補足説明

 特定目的会社による不動産証券化の実績は、平成18年度1.9兆円→平成19年度3.4兆円→平成20年度1.1兆円と推移し、リーマン・ショックにより大きく落ち込んでおり、鳩山政権による租税特別措置の見直しの対象になったようです。

■上記から感じること

 消費税の仕入税額控除の調整措置に係る適用の適正化は、不動産証券化スキームへの大きな影響がありそうです。

 我々、税務会計専門家としては、大きな節税が可能なタックス・プランニングの醍醐味は減りますが、万が一の注意を怠った場合の損害賠償のリスクという点では肝を冷やす機会も減ることになりそうです。

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