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収益還元法の復権は喜ばしい限りですが・・・。「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン」

 昨年、当ブログでもいち早く取り上げてさせていただいた中小企業庁による非上場株式の価格算定の指針ですが、本年(平成21年)2月に「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン」として公表。

 http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2009/090209HyoukaGuidelines.htm

 多忙のあまりついついコメントするのが遅くなってしまい恐縮ではありますが、期待通りに収益還元法の復権したのは喜ばしい限り。

 しかし、気になる点が・・・。

■近年の収益還元法に対する評価

 平成19年5月16日公表の経営研究調査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン」日本公認会計士協会などでの扱いもそうですが、非上場株式等のインカム・アプローチ(収益方式)による株式評価方法としての収益還元法は理論的でないとされ、M&A実務などでDCF法に押されて見る影もない有様。

 そんな中、私としては、大規模上場会社のように一定水準の精度が確保された損益及び収支計画が作成されていない中小・零細企業等においては、詳細な将来の収支予測等が必要となるDCF法の採用は困難であるとともに馴染まない場合もあるため、インカム・アプローチ(収益方式)として、一般に決算書の数値に基づき計算が簡素で比較的恣意性が排除できる収益還元法の適用を、再評価してもよいのではないかと常々感じていたところでした。

■「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン」での収益還元法の復権

 ところが、「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン」では、インカム・アプローチ(収益方式)として、DCF法よりも収益還元法が順番的にも先に紹介されており、収益還元法が見事復権。

 どうも、経営承継法の「固定合意」のための株式評価額の計算という目的から、事業承継者の努力による将来の利益は評価額計算から除くべきで過去実績に基づき評価すべきという観点より、収益還元法が重視されているらしい。

■収益還元法についての説明の十分性

 しかし、紹介されている収益還元法は、税引後営業利益÷加重平均資本コスト(「WACC」)により事業価値を算出し、事業価値-有利子負債=株主価値(非事業資産及び少数株主持分をとりあえず省略)を算出するという、いわゆる「エンティティ・アプローチ(Entity Approach)」もしくは「事業価値ベース」による収益還元法。

 ところが、従来、我が国の実務慣行として定着してきた収益還元法は、税引後利払後利益(≒当期純利益)÷株主資本コストにより株主価値を直接算出するという、いわゆる「エクイティ・アプローチ(Equity Approach)」もしくは「株主価値ベース」による収益還元法。

 実際、裁判例として、「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン」で紹介されている大阪地裁平成15年3月5日判決も、税引後利払後利益(≒当期純利益)÷株主資本コストにより株主価値を直接算出しています。

 残念ながら、その点については、十分な説明がないのが大変残念ですし、実務上混乱を招かないのか心配になります。

■2つの収益還元法の説明と両者の関係の試算

 できれば、事業価値-有利子負債=株主価値を算出するという、「エンティティ・アプローチ(Entity Approach)」等による収益還元法と、税引後利払後利益(≒当期純利益)÷株主資本コストにより株主価値を直接算出するという、「エクイティ・アプローチ(Equity Approach)」等による収益還元法の比較説明と、両者の計算結果は原則として一致するという設例があればよかったと思います。

 その試算を自分で行ってみると、なぜ加重平均資本コスト(「WACC」)は、簿価ではなく時価の株主資本を用いないと合理的でないのかという、収益方式による企業価値評価の深遠部分(と私は思っていますが)が理解できると思います。

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