もっと評価されてよいはずのフィル・コリンズ(Phil Collins)と並ぶNo.1プログレ・ドラマー、ジョン・ウェザーズ(John Weathers)。ジェントル・ジャイアント(Gentle Giant)「オクトパス(Octopus)」
2009年9月、ジェントル・ジャイアント(Gentle Giant)の元メンバー、ケリー・ミネア(Kerry Minnear:Key)、ゲイリー・グリーン(Gary Green:G)、マルコム・モルティモア(Malcolm Mortimore:D)からなるスリー・フレンズ(Three Friends)が来日。
それにあわせて、ヴァーティゴ(Vertigo)時代のジェントル・ジャイアント(Gentle Giant)4作品が紙ジャケ・再発(2009年8月)。
注目は、イエス(Yes)でおなじみ、ロジャー・ディーン (Roger Dean)のタコのイラストが印象的な、「オクトパス(Octopus)」(1972年)。
スリー・フレンズ(Three Friends)で来日したマルコム・モルティモア(Malcolm Mortimore)には申し訳ありませんが、彼に替わって加入した、ジョン・ウェザーズ(John Weathers)のドラミングがとにかく素晴らしい。
そのスクエアなグルーヴ感は、ジェネシス(Genesis)のフィル・コリンズ(Phil Collins)と並ぶNo.1プログレ・ドラマーだと私は思います。
ジェントル・ジャイアント(Gentle Giant)といえば、何と言ってもライヴ・アルバム「プレイング・ザ・フール(Playing The Fool)」(1977年)が大傑作。
発売当時、とにかく聴きまくりました(なぜかいまだにない紙ジャケ再発期待いたします)。
多くの人が指摘しているように、様々な、弦楽器、金管、木管の管楽器、打楽器が登場するサウンド、グリー・クラブのような見事なコーラスは、いったい誰がどうやって演奏しているのかが、当時は不思議でした。
また、確かアメリカで共演したクリエイション(CREATION)の竹田和夫が嫌がらせを受けたらしく、「プレイヤー(Player)」誌上で、「イギ公」、「へたくそ」とえらい剣幕で怒っていて、よほど偏屈な人たちなのかと実に謎の存在でした。
その演奏の模様は、最近、「ジャイアント・オン・ザ・ボックス DVD(Giant On The Box DVD)」(2004年)、「GG・アット・ザ・GG(GG at the GG)」(2006年)といったDVDが発売になり、You Tube上にも多くのライヴ映像がアップされ謎は解消。
実は、たった5人のメンバーが、様々な、弦楽器、金管、木管の管楽器、打楽器を持ち替えて演奏し、グリー・クラブのようなコーラスも行うというもので、その演奏能力の高さから、「サーカス」などと評され、どうも近年再評価の機運が高まっている模様。
ただし、ジョン・ウェザーズ(John Weathers)の他のプログレ・バンドとは一線を画す、スクエアなグルーヴ感は、ジェネシス(Genesis)のフィル・コリンズ(Phil Collins)と同じぐらいに評価されても良い素晴らしさで、さらに再評価がされるべきと感じます。
ジェントル・ジャイアント(Gentle Giant)のグルーヴ感ですが、すごく上手いクラシックの演奏家と似たものを感じます。
You Tube上では2本に分かれていますが、「ジャイアント・オン・ザ・ボックス DVD(Giant On The Box DVD)」(2004年)収録の1974年のドイツのTV番組での「フューチャーズ・フロム・オクトパス(Features From Octopus)」と称するライヴ映像。
http://www.youtube.com/watch?v=mI8dBOIuG9I
http://www.youtube.com/watch?v=oK4cuXJa7QE
「オクトパス(Octopus)」の4曲目「ノッツ(Knots)」と1曲目「パナージの到来(The Advent Of Panurge)」のメドレー。
「プレイング・ザ・フール(Playing The Fool)」では、さらに6曲目「ボーイズ・イン・ザ・バンド(The Boys The Band)」から始まるアルバムでも根幹部分のメドレーです。
「ボーイズ・イン・ザ・バンド(The Boys The Band)」部分がないのは残念ですが、ジョン・ウェザーズ(John Weathers)の素晴らしいドラミングだけでなく、楽器持ち替えの妙技が、前半のアコースティック・ギター・デュオ、後半のリコーダー・カルテット部分で十分に楽しめる素晴らしい映像です。
「ストレンジデイズ 2009年 12月号」のスリー・フレンズ(Three Friends)で来日した、作曲・編曲担当のケリー・ミネア(Kerry Minnear)への岩本晃市郎氏によるインタビューによれば、ジェントル・ジャイアント(Gentle Giant)のメンバーがマルチ・プレイヤーというよりも、誰がどの楽器をどのように弾けるかを前提に曲作りをしていることがすごいのだと自画自賛。
そして、それは、ブラック・サバス(Black Sabbath)などいろいろなバンドの前座を務めたことから、どうやったら音楽性の違うファンからブーイングされずに受け入れてもらえるか考えた末に生まれたものとのこと。
確かに、ジェントル・ジャイアント(Gentle Giant)の複雑な複合リズムや対位法を駆使したメロディーは、決して即興的ではなく考え抜かれ整理されたもののように感じます。
その整理されたアレンジは、アメリカの同じく過小評価のバンド、ダニー・エルフマン(Danny Elfman)率いるオインゴ・ボインゴ(OINGO BOINGO)に相通ずるものを感じるのは私だけでしょうか。
ヴォーカリストのスター性の無さがゆえ、苦労したという点でも両者はそっくりと思うのですが。
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