日本航空(JAL)も事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)。2009年10月14日付日本経済新聞等より。
■事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)とは?
「裁判外事業再生」実務研究会 (編集) 「裁判外事業再生の実務」を参考にすると、以下の通り。
「事業再生ADR(Alternative Dispute Resolution)」とは、事業再生を目的とした再建計画や債務調整の合意を、裁判外で、中立公正な第三者の関与によって図ろうという手続で、いわば法的整理と私的整理の中間的な手続で、法務大臣より認証を受けた認証紛争解決事業者は、事業再生実務家協会。
■法的整理と比較した事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)のメリット
国家権力の行使ではないこと等による簡易迅性、
金融機関のみを対象とした手続が可能である当等の柔軟性、
公告等が求められないことによる秘密保持
というメリットがあるとされています。
■私的整理と比較した事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)のメリット
相対交渉ではなく中立公正な第三者が手続に関与すること等による透明性
従来の私的整理に見られた「メイン寄せ」や「ゴネ得」の回避
というメリットがあるとされています。
■上記から感じること
2008年10月からスタートした事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)ですが、新聞報道を見ていると、思ったより多くの企業が利用している印象があり、すっかり事業再生の手法として市民権を得たようです。
ただし、新聞報道を見てわかるということは、公告等が求められないことによる秘密保持という法的整理に対するメリットはあまり無いような気もいたします。
また、債権者保護手続不要の会社分割の喧伝、商取引100%弁済の法的整理の提唱などと合わせて、金融機関のみを対象とした債務整理手続はすっかりトレンドとなってきたようです。
| 固定リンク
« 再発見、名曲ぞろいの傑作「アルバム」。「マジカル・ミステリー・ツアー(Magical Mystery Tour)」 | トップページ | 久保田麻琴(Makoto Kubota)とのコラボレーションが最高です。あがた森魚(Morio Agata)「あがた森魚とZIPANG BOYZ號の一夜」 »
「事業再生・倒産等(ややプロ向)」カテゴリの記事
- 「倒産」状態の債務者に対する債務免除に関する税務について執筆させていただいた書籍の改訂版が発売されました。リスクモンスター株式会社(編)「与信管理論〔第2版〕」(2015.07.19)
- 保証人、債権者ともに課税関係は生じないことが確認されています。「経営者保証に関するガイドライン」に基づく保証債務の整理に係る課税関係の整理に関するQ&Aについて」(2014.06.21)
- 会社更生手続以外の実務にも実務に活かせる事業再生ノウハウの最前線の調査分析。松下淳一 (編集)・事業再生研究機構 (編集) 「新・更生計画の実務と理論」(2014.05.25)
- 民事再生法の正しい理解に活用するのに最適な統計値。山本和彦、山本研(編集)「民事再生法の実証的研究」(2014.04.27)
コメント