やってみると意外に難しい会社清算の税務・会計実務に便利な新刊本。ひかりアドバイザーグループ(編)「会社清算の実務75問75答」
従来は、会社清算の税務・会計の実務書として、山上一夫(著)「新・財務整理と清算の実務全書」(2003年)、大沼長清(編)・井上久彌(編)・磯邊和男(編)・坂本一 (著)・平山 昇(著)「会社税務マニュアルシリーズ 第1巻 設立・解散」(第五次改訂版:2006年)等を見比べながら、コストとベネフィットの関係を考慮しつつ実務的な処理を模索。
特に、山上一夫(著)「新・財務整理と清算の実務全書」は、旧版から、会社清算の税務・会計実務のバイブルとして重宝させていただきました。
著者の年齢を考慮するとさらなる新版は難しいのかもしれませんが、どなたか承継していただきたいものです。
その後、新刊として登場した、高野総合会計事務所(編)「ケース別会社解散・清算の税務と会計」(2007年)は、ケース別の会社清算の税務・会計の書式の記載例が満載された便利な書。
従来の会社清算の税務・会計の書式の記載例の不足状態を補う好書。
法的整理に実績のある高野総合会計事務所らしく、破産や特別清算のケースの具体例が掲載されている点もポイントが高い。
そのような中、新たに登場した「会社清算の実務75問75答」(2009年5月)ですが、上記の書籍を踏まえた上で、Q&A形式の採用、図解の重視、ひな型や記載例の充実等、より実務に役立つような工夫が随所に見られる点が見事。
特に、私が注目したのは、「清算期間中の消費税のタックス・プランニングあれこれ」、「清算に係る節税ヒント②-土地の売却と借入金の返済時期」、「清算に係る節税ヒント③-使用人退職金の債務の計上時期」等のタックス・プランニングに関する部分。
ここでは詳しく触れませんが、実は、会社清算の税務・会計の実務においては、税務会計の専門家でもうっかりしがちな、知っていると知っていないとでは大きく税額に差が出てしまう論点がたくさんあるのですが、それらについてもしっかりと言及。
ただし、「会社清算の実務75問75答」ですが、会社清算の労務にまでも言及していますが、税務会計も含めて法的整理には言及しておりませんのでご注意を。
実務上、税務会計はもちろん、法的にも手続を行わない、いわゆる「放置」状態がまだまだ後をたたない会社の清算、「会社清算の実務75問75答」等の利用で適切な手続が進むことを期待いたします。
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