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正に中小企業経営者に必要な「知恵」、事業再生の名著がリニューアル。川野雅之(著)「過剰債務に負けない中小企業再生の智恵」

H210918  以前にもご紹介しましたが、2004年9月に初版が刊行された、川野雅之(著)「中小企業再生完全マニュアル」は、画期的な中小企業の事業再生の名著。

 その名著の待望のリニューアル版、川野雅之(著)「過剰債務に負けない中小企業再生の智恵」(2009年7月)がようやく登場。

 各種報道を見ると、中小企業の経営難を苦にした自殺が相変わらず起きているようですが、それだけは本当にばかばかしい。

 そんな事態を防ぐために、正に、中小企業経営者に必要な「知恵」が詰まっているのが本書です。

■金融機関の債務のみをカットする再生手法に重点

 今回のリニューアル版の特徴として挙げられるのが、金融機関の債務のみをカットする再生手法に重点においていること。

 川野雅之氏の初期の書籍では、民事再生法に重点が置かれていましたが、新しい書籍を出版するにつれ、ウェイトが減って行き、「過剰債務に負けない中小企業再生の智恵」では、もはやほとんど触れられていません。

 替わりに重点が置かれているのが、事業譲渡や会社分割を想定した、いわゆる「第二会社方式」。

 私の実務感覚としても、ここ数年で、債権者保護手続を必要としない会社分割がさかんに喧伝され、事業再生ADRが立ち上がり、商取引債権100%弁済型会社更生が唱えられ、民事再生手続の実務でも動産売買の先取特権を別除権として認める「商取引極力弁済型」とでも言うような手法が増え、金融機関の債務のみをカットする再生手法のトレンドを強く感じます。

■具体的な「現場感覚」が頼もしい

 日本全国で数多くの中小企業の再生に関する相談を受けてらっしゃる川野雅之氏の書籍の頼もしいところは、その具体的な「現場感覚」。

 アメリカ直輸入ファイナンス論的「ターン・アラウンド」でもなければ、魔法のように会社がよみがえる誇大広告的コンサルティングでもなく、あくまでも地に足がついた再生手法の情報が役に立ちます。

 例えば、金融機関の返済を止めた場合の都市銀行・地方銀行・信用金庫・信用組合・旧政府系金融機関・保証協会別の具体的な対応についての情報、いくらで債権を購入するかなどのサービサーの情報、サービサー・保証協会・日本政策金融公庫別の個人保証の対応策など、具体的かつ確かな情報が満載。

 川野雅之氏のフィールド・ワーク、今後も期待させていただきます。

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