今、最もクールな、真のAOR。ジョー・ヘンリー(Joe Henry)「ブラッド・フロム・スターズ(Blood from Stars)」
以前にご紹介した素晴らしいプロデュース作、ランブリング・ジャック・エリオット(Ramblin' Jack Elliott)「ア・ストレンジャー・ヒア(A Stranger Here)」(2009年4月)が記憶に新しい、ジョー・ヘンリー(Joe Henry)の新作ソロ・アルバムが登場。
同作と同様に、1918年生まれ、1978年没のアメリカの写真家、ウィリアム・ユージン・スミス(William Eugene Smith)の「United」(1955年)という作品が使われた印象的なジャケットの、「ブラッド・フロム・スターズ(Blood from Stars)」(2009年8月)。
ジョー・ヘンリー(Joe Henry)は、当ブログにコメントを寄せていただいているMYBさんのサイト「Uwatzlla!」の言いえて妙の言葉を借りるならば、「ヴィンテージなアメリカ味を今日的な洗練と少々のオルタナテイストで再構成するSSW」。
今、最もクールな、真のAORとでも言うべき音楽です。
「MUSIC MAGAZINE(ミュージック・マガジン)」誌などで、音楽通が今大絶賛のジョー・ヘンリー(Joe Henry)。
しかしながら、私は、正直申し上げると、傑作とされる前作「シヴィリアンズ(Civilians)」(2007年9月)も今ひとつピンと来なかったのが正直なところ。
私の好きなアメリカン・ルーツ・ミュージック探求型の他のミュージシャン、例えば、ヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)、ジェフ・マルダー(Geoff Muldaur)、スフィアン・スティーヴンス (Sufjan Stevens)などと比べると、センチメンタリズムもなければ、ユーモアもない印象。
深いドラム・サウンドのレコーディング技術等、極上のサウンドというのはわかるのですが、何か可愛げがない(笑)。
MYBさんが指摘している、まな板にのせる素材のエッセンスを冷静に抽出しようとする標本的な視点、そこに感じるクールネスが、音楽にもっと喜怒哀楽を求めたい私には少々大人過ぎるという感じでしょうか。
しかし、プロデュース作、ランブリング・ジャック・エリオット(Ramblin' Jack Elliott)「ア・ストレンジャー・ヒア(A Stranger Here)」(2009年4月)には痺れました。
というわけで、だいぶ馴染んできたジョー・ヘンリー(Joe Henry)のアダルト・オリエンティッドな世界、「ブラッド・フロム・スターズ(Blood from Stars)」は、以前の作品よりだいぶ楽しめるようになってきました。
だけど、プロデュース作の方がまだ聴きやすいかな、私には。
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コメント
私も前作はそれほどでもなく、マガジン界隈であれだけ絶賛されてるのを不思議な気持ちで眺めていました。もっと裏街道を行く人だと思っていたのに、いつの間にあんな脚光を? って感じで。
可愛げ、ないですよねぇ。隙がない。でもあのクールさこそ持ち味だとは思うんですけど。プロデューサーとしては、かつてのミッチェルフルーム的ポジションを思い出させますね。
投稿: MYB | 2009年9月 7日 (月) 00時48分
MYBさん、コメントありがとうございます。
「大人気ない」電気グルーヴを聴いた後で、「可愛げない」ジョー・ヘンリーを聴くとそのクールさは際立って感じます(笑)。
投稿: Accounting&Music | 2009年9月11日 (金) 03時15分