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アメリカにジョー・ヘンリー(Joe Henry)がいるなら、日本には久保田麻琴(Makoto Kubota)がいます。ブルー・アジア(Blue Asia)「スケッチ・オブ・ミャーク(SKETCHES OF MYAHK)」

H210909_sketches_of_myahk  先日ご紹介した、視野の広さと録音の素晴らしさで注目のプロデューサー、ジョー・ヘンリー(Joe Henry)。

 視野の広さと録音の素晴らしさという点で忘れてならないのが、日本が誇る「音の錬金術師」、久保田麻琴(Makoto Kubota)。

 そんな、久保田麻琴の、マレーシアのマック・チュー(Mac Chew)、ジェニー・チン(Jenny Chin)、池田陽一(Youichi Ikeda)とのプロジェクト、ブルー・アジア(Blue Asia)名義の新作、「スケッチ・オブ・ミャーク(SKETCHES OF MYAHK)」(2009年7月)が登場。

 今回の久保田麻琴の錬金術の材料は、何と沖縄は宮古島の古謡。

 最近の久保田麻琴のその広すぎる視野について行くのがつらかった私も満足の、ポップな仕上がりです。

 久保田麻琴は、1970年に同志社大学在学中にフォーク・シンガーとしてデビュー後、1970年代の夕焼け楽団でのアメリカン・ルーツ・ミュージック指向、1980年代のサンディー&サンセッツ(Sandii & The Sunsetz)でのテクノ・ニュー・ウェイヴ指向、1990年代のサンディー(Sandii )のソロアルバムでのアジアを中心としたワールド・ミュージック指向、2000年前後のシンガー・ソング・ライターとしての復活、そして、近年のブルー・アジア(Blue Asia)等の世界音楽採集指向と、盟友細野晴臣とお互いに、呼応するかのようにその音楽活動を変遷。

 私が大好きだったのが、1990年代のワールド・ミュージック指向時代で、私にとっての1990年代は、ピチカート・ファイヴ(Pizzicato Five) の小西康陽と、サンディー(Sandii )の久保田麻琴の時代でした。

H210909_2  最近の久保田麻琴の活動は、「現代のボヘミアンの声に耳を傾けてみようではないか。」という細野晴臣の推薦の言葉の帯が嬉しい、久保田麻琴(著)、なんとCD付の岩波新書「世界の音を訪ねる―音の錬金術師の旅日記」(2006年4月)に詳しい。

 最近の、ブラジル北東部の音楽、ノルデスチ(Nordeste)を1967年のサンフランシスコと重ね合わせてただごとではないと紹介し、さらにモロッコのグナワ(Gnawa)の音楽と重ね合わせて語ってゆく、グローバルな独自の視野。

 ただし、小泉文夫のような、最近の世界音楽採集的な音源は、ポップ・ミュージックを楽しみたい私にとっては少々苦痛。

H210909_3  そんな、最近の久保田麻琴の活動をポップ・ミュージックに結実させたのが、久保田麻琴プロデュース作、あがた森魚(Morio Agata)「タルホロジー(Taruphology)」(2007年9月)。

 なんと、1曲目「東京節」は、細野晴臣、鈴木慶一とのトリオでのおそらく初共演ではないかと思われる、3者のファンとしては嬉しい作品。

 ノルデスチ(Nordeste)、グナワ(Gnawa)のエッセンスを取り入れたふくよかなリズムがアルバム全体に深い滋養をもたらし、実に気持ちが良い。

H210909_sketches_of_myahk_2  いよいよ、ポップ・フィールドに返り咲きかという期待がつのりつつあったところで、久保田麻琴の目が向いたのが沖縄は宮古島の古謡。

 今回、久保田麻琴が関与した宮古島の古謡のオリジナル音源4作品も同時にリリースされましたが、ポップ・ミュージックに毒された私としては、ブルー・アジア(Blue Asia)名義、「スケッチ・オブ・ミャーク(SKETCHES OF MYAHK)」(2009年7月)が一番楽しめます。

 「スケッチ・オブ・ミャーク」の久保田麻琴自身によるライナー・ノーツによると、ジャマイカの奴隷制度がレゲエを生んだように、薩摩藩の進攻により1637年から1903年まで続いた人頭税制度が宮古の古謡のアラガマ精神とも呼ばれる独特の生命力を生んだらしい。

 その独特の生命力の宮古の古謡にまとわりつくように、ブルー・アジア(Blue Asia)がサウンド・トリーメントを施すと、出来上がったサウンドは実にポップ。

 さらに、「タルホロジー(Taruphology)」ようなポップ・ミュージックへの結実、久保田麻琴に期待したいと思います。

【追伸】

 「サウンド&レコーディング・マガジン 2009年9月号(Sound&Recording Magazine 2009.9)」のインタビューを読んで知りましたが、7曲目「中立ちのミガガマ」を歌っている伊良部出身10歳の神童の譜久島雄太は、神歌を検索していた久保田麻琴が下記のYou Tube上の動画「伊良部の神童」で発見したとのこと。

 http://www.youtube.com/watch?v=rDJ_8Ch3O54

 http://www.youtube.com/watch?v=RDhWJu69u5U

 http://www.youtube.com/watch?v=m3VdEMCMxg0

 「伊良部の神童2」の最初と「伊良部の神童3」の後半に歌っているのが「中立ちのミガガマ」。

 久保田麻琴は、ちょっとマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)じみているとその才能を絶賛。

 現在のYou Tube時代を実感させてくれる出来事ですね。

 

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