平成21年(2009年)税制改正でこうなるNo.30。生命保険料控除の改正(個人)
前回に引き続き、平成21年(2009年)税制改正によりどこがどう変わったのか概要を確認して行く「平成21年(2009年)税制改正でこうなる」シリーズの第30回。
今回は、保険ニーズの多様化や社会保障を保管する分野の重要性の観点から、
一般保険料控除と個人年金保険料控除の限度額が引き下げられる代わりに、
新たに介護・医療保険料控除が創設されるという、
平成24年(2012年)度の所得税、
平成25年(2013年)度の住民税
から適用される予定の生命保険料控除の改正(個人)についてです。
■従来の制度
【適用限度額】
区分 | 所得税 | 住民税 |
一般生命保険料控除 | 50,000 | 35,000 |
個人年金保険料控除 | 50,000 | 35,000 |
合計適用限度額 | 100,000 | 70,000 |
【各保険料控除の控除除額】
税目 | 年間の支払保険料等 | 控除額 |
所得税 | 25,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
25,000円超50,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500 | |
50,000円超100,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000 | |
100,000円超 | 50,000円 | |
住民税 | 15,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
15,000円超40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+7,500 | |
40,000円超70,000円以下 | 支払保険料等×1/4+17,500 | |
70,000円超 | 35,000円 |
■生命保険料控除の改正(個人)の概要
【適用時期】
平成24年(2012年)度の所得税、
平成25年(2013年)度の住民税
から適用される予定(平成21年度は従来の制度)。
【概要】
保険ニーズの多様化や社会保障を保管する分野の重要性の観点から、
一般保険料控除と個人年金保険料控除の限度額が引き下げられる代わりに、
新たに介護・医療保険料控除が創設されることとなりました。
【適用限度額】
区分 | 所得税 | 住民税 |
一般生命保険料控除 | 40,000 | 28,000 |
個人年金保険料控除 | 40,000 | 28,000 |
介護・医療保険料控除 | 40,000 | 28,000 |
合計適用限度額 | 120,000 | 70,000 |
*住民税の合計適用限度額は、84,000円ではなく、70,000円となりますのでご注意ください。
【各保険料控除の控除除額】
税目 | 年間の支払保険料等 | 控除額 |
所得税 | 20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000 | |
40,000円超80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000 | |
80,000円超 | 40,000円 | |
住民税 | 12,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
12,000円超32,000円以下 | 支払保険料等×1/2+6,000 | |
32,000円超56,000円以下 | 支払保険料等×1/4+14,000 | |
56,000円超 | 28,000円 |
■上記の改正から感じること
日本が直面する高齢化社会を考慮すると、介護・医療保険料控除が創設され、介護・医療保険料控除が創設されるという改正は止むを得ない方向ではないかと思われます。
あと、一言付け加えさせていただきますと、公的年金の制度に不安があるから民間の個人年金だけ入る方が良いという考え方があるようですが(そもそも違法ですが)、リーマンショック後の世界金融危機でよくわかったように、公的年金より民間の保険会社の信用リスクの方が高い可能性が高く、生命保険料控除よりも社会保険料控除の方が税制上も優遇されているというのが現実ですので、お忘れのないように。
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