平成21年(2009年)税制改正でこうなるNo.29。少額の上場株式等投資のための非課税措置の創設(個人)
前回に引き続き、平成21年(2009年)税制改正によりどこがどう変わったのか概要を確認して行く「平成21年(2009年)税制改正でこうなる」シリーズの第29回。
今回は、金融所得課税の一体化の取り組みの中で「貯蓄から投資へ」の流れを促進する観点から、
将来、
上場株式等の配当所得及び譲渡所得等に係る軽減税率10%(所得税7%、住民税3%)が廃止され、
本則税率20%(所得税15%、住民税5%)が実現する際での実施が明らかにされた、
少額の上場株式等投資のための非課税措置の創設(個人)についてです。
■少額の上場株式等投資のための非課税措置の創設の概要
政府与党の平成21年度税制改正大綱及び財務省の平成21年度税制改正の要綱において、金融所得課税の一体化の取り組みの中で「貯蓄から投資へ」の流れを促進する観点から、将来、上場株式等の配当所得及び譲渡所得等に係る軽減税率10%(所得税7%、住民税3%)が廃止され、本則税率20%(所得税15%、住民税5%)が実現する際、少額の上場株式等投資のための非課税措置の創設されることが明らかにされました。
居住者等(満20歳以上の者に限る。)は、金融商品取引業者等の営業所に非課税口座を開設できるものとします。
非課税口座とは、本措置の施行の日から5年内の各年において開設する③の非課税措置の適用を受けるための口座(一の年につき一口座に限る。)で、その口座を開設した日からその年12月31日までに取得をする上場株式等(その取得対価の額の合計額が100万円に達するまでのものに限る。)のみを受け入れることとされているものをいいます。
非課税口座において当該口座を開設した日の属する年の1月1日から10年内に生ずる上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等に対しては、所得税を課さないこととされます。
今後、不正防止のための番号制度等を利用した適正な口座管理方法や、非課税口座の設定について要件違反があった場合における源泉徴収の取扱い等の制度設計の詳細について更に検討を進め、平成 22年度改正において法制上の措置を講ずるものとされます。
そして、金融所得課税の一体化については、金融商品間の課税方式の均衡化や上場株式等の配当所得と譲渡所得等との間における損益通算の範囲の拡大を踏まえ、今後、税の中立性を勘案しつつ、その他の金融資産性所得も対象とした一体化について、引き続き推進することとされました。
■上記から感じること
また繰り返しになりますが、現行の金融商品の課税制度は、私どもプロの目から見ても大変複雑で、複数種類の金融商品から生じた所得と損失が、所得の相違により損益通算できないことも多く、分散投資を行う投資家にとっては納得が行かない点が多々ありました。
複数種類の金融商品から生じた所得と損失の損益通算不能が、預金から投資への流れを阻害していた面は否定できません。
政府与党の平成21年度税制改正大綱及び財務省の平成21年度税制改正の要綱において、将来の少額の上場株式等投資のための非課税措置の創設が示され、金融所得の一体課税の実現への動きが引き続き推進されることも明示されたことは好ましいことかと思われます。
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