平成21年(2009年)税制改正でこうなるNo.27。上場株式等の配当所得課税の改正(個人)
■従来の上場株式等の配当所得課税の制度(平成20年税制改正による予定を含む)
【平成19年1月1日~平成20年12月31日の上場株式等の配当所得課税】
・源泉徴収(特別徴収)の税率
一定の場合を除き
軽減税率10%(所得税7%、住民税3%)
・課税方法
一定の場合を除き
軽減税率10%(所得税7%、住民税3%)の源泉分離課税
と
申告総合課税
の選択が可能。
【平成21年1月1日~平成22年12月31日の上場株式等の配当所得課税(平成20年税制改正による予定)】
・源泉徴収(特別徴収)の税率
税率20%(所得税15%、住民税5%)
特例措置
大口株主が支払を受けるものを除く上場株式等の配当等については
軽減税率10%(所得税7%、住民税3%)
この場合には、
その年中の上場株式等の配当等
(年間の支払金額が1万円以下の銘柄に係るものを除く。)の金額の合計額が
100万円を超える者については、
当該上場株式等の配当等に係る申告不要の特例は適用されないため
確定申告が必要。
・課税方法
上場株式等の配当所得の申告分離選択課税の創設
税率20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税
と
申告総合課税
の選択が可能。
申告分離選択課税の税率の特例措置
申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得の金額のうち
100万円以下の部分については、
軽減税率10%(所得税7%、住民税3%)。
【平成23年1月1日~の上場株式等の配当所得課税(平成20年税制改正による予定)】
・源泉徴収(特別徴収)の税率
税率20%(所得税15%、住民税5%)
特例措置は期限切れ。
・課税方法
上場株式等の配当所得の申告分離選択課税の創設
税率20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税
と
申告総合課税
の選択が可能。
申告分離選択課税の税率の特例措置は期限切れ。
■平成21年(2009年)税制改正による上場株式等の配当所得課税の改正(個人)の概要
厳しい金融情勢を考慮し金融市場を活性化する観点から、平成20年(2008年)税制改正で設けられた特例措置の内、大口株主が支払を受けるものを除く上場株式等の配当等についての軽減税率10%(所得税7%、住民税3%)の適用期間が、平成21年1月1日~平成23年12月31日まで1年間延長されることとなりました。
ちなみに、非上場株式等と、上場会社等の発行済株式等の5%以上を保有する大口株主が支払を受けるものについては、20%の総合課税で改正はございません。
ただし、平成20年(2008年)税制改正で設けられた特例措置でも、その年中の上場株式等の配当等(年間の支払金額が1万円以下の銘柄に係るものを除く。)の金額の合計額が100万円を超える者については、当該上場株式等の配当等に係る申告不要の特例は適用されず確定申告が必要となる措置は廃止されました。
■上記から感じること
前回の繰り返しになりますが、現行の金融商品の課税制度は、私どもプロの目から見ても大変複雑で、確定申告の時期には大変神経を使うところでもあります。
リーマン・ショック後の世界金融危機の影響により軽減税率が据え置かれることは景気回復のため止むを得ないでしょうが、金融商品の課税制度の複雑さ自体が預金から投資への流れを阻害していた面は否定できず、金融所得の一体課税への流れは止めることなく推進していただきたいところです。
| 固定リンク
« ケンさん(横山剣)の含蓄のある歌詞が面白い。クレイジーケンバンド(Crazy Ken Band)「ガール!ガール!ガール!(Girl! Girl! Girl!)」 | トップページ | うっかり買い損ねるところだった、2006年リマスター&対訳付、単なるSHM-CD化ではない素晴らしい再発No.2。スパークス(Sparks)「キモノ・マイ・ハウス(Kimono My House)」 »
「会社・個人の税金・会計」カテゴリの記事
- 紙幅は狭いながら濃い内容です。「〔特集〕2018よい節税悪い節税」週刊エコノミスト 2018年01月30日号(2018.02.11)
- 元旦日本経済新聞1面。「パンゲアの扉 つながる世界 溶けゆく境界 もう戻れない デジタルの翼、個を放つ 混迷の先描けるか」(2018.01.01)
- 遂にグローバルタックスプランニングにも言及。「大増税&マイナンバー時代の節税術」 (週刊ダイヤモンド 2017年 12/23 号)。(2017.12.24)
- 一番使いやすい。島田 哲宏(著)「Q&Aで解決 欠損金の繰越控除の判断とポイント」(2017.02.11)
- 特に、資産課税関係に注目です。自由民主党、「平成29年税制改正大綱」を公表。(2016.12.11)
コメント