平成21年(2009年)税制改正でこうなるNo.23。企業再生関係税制:いわゆる「別表添付方式」による評価損益の計上が可能となる民事再生に準ずる私的整理の事実の範囲拡大(法人)
前回に引き続き、平成21年(2009年)税制改正によりどこがどう変わったのか概要を確認して行く「平成21年(2009年)税制改正でこうなる」シリーズの第23回。
今回は、企業再生関係税制:いわゆる「別表添付方式」による評価損益の計上が可能となる民事再生に準ずる私的整理の事実の範囲拡大(法人)です。
■改正の概要
いわゆる「別表添付方式」による資産の評価損益の計上及び青色欠損金等以外の繰越欠損金の優先控除の対象となる、一定の債務処理に関する計画に係る要件について、次のとおり見直しが行われました。
【株式会社地域力再生機構が関与した私的整理】
適用対象に加えられました。
平成20年8月内閣府「平成21年度税制改正要望」に応じたもののようです。
【2以上の金融機関等の債務免除要件の緩和】
一方の債務免除の当事者に地方公共団体を追加されました。
平成20年8月経済産業省「平成21年度税制改正に関する経済産業省意見」に応じたもののようです。
【債務免除要件のDES(デット・エクイティ・スワップ)への拡大】
債務免除要件について、自己に対する債権の現物出資を受ける場合についても債務免除があった場合と同様の取扱いとすることとされました。
ただし、債務者である法人において債務消滅益が生じることが見込まれる場合に限られます。
【専門家関与要件の緩和】
債務者法人の借入金その他の債務で利子の支払の起因となるものの額が10億円に満たない場合には、関与すべき専門家の人数は2人以上とされました。
私的整理ガイドライン研究会や中小企業庁等に対する国税庁の文書回答事例により、従来は3人との解釈が示されていました。
【適用時期】
平成21年4月1日以後に民事再生法の規定による再生計画認可の決定その他これらの事実が生じた場合について適用されます。
同日以前にこれらの事実が生じた場合は、従前通りとなります。
■上記から感じること
最近の事業再生に関する税制の充実振りには目を見張るものがあり、10年前の状況を考えると隔世の感があります。
ただし、せっかくの税制も、適用を忘れたり、適用を誤ってしまっては元も子もありませんので、特に我々税務会計専門家にとっては、腕の振いどころであるとともに、重い責任を感じるところでもあり、一層の精進をして行きたいと思います。
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