うっかり買い損ねるところだった、2006年リマスター&対訳付、単なるSHM-CD化ではない素晴らしい再発No.3。スパークス(Sparks)「恋の自己顕示(Propaganda)+2」
1959年設立のアイランド・レコード(Island Records)50周年を記念して、ロン・メイル(Ron Mael)とラッセル・メイル(Russell Mael)の孤高の兄弟バンド、スパークス(Sparks)のアイランド時代の4作品がSHM-CD仕様による紙ジャケ・再発。
2001年に雑誌ストレンジ・デイズ(Strange Days)監修の1994年デジタル・リマスターの素晴らしい紙ジャケ再発があったので、それの単なるSHM-CD仕様の再発かと油断したら、2006年リマスター&対訳付で音がかなり良く、ボーナス・トラックも異なる仕様。
うっかり買い損ねるところでしたが何とか入手した4部作、「キモノ・マイ・ハウス+3(Kimono My House)」(1974年・再発2009年6月)に続いてご紹介するのは、商業的成功を収めた同盤から僅か9ヶ月後にリリースされた、スパークス(Sparks)「恋の自己顕示+2(Propaganda)」(1974年・再発2009年6月)です。
スパークス(Sparks)作品のジャケット・デザインのセンスの良さは、誰もが認めるところ。
「恋の自己顕示(Propaganda)」(1974年)の、誘拐されるラッセル兄弟の洒落たジャケット写真は、後にブライアン・フェリー(Brian Ferry)「イン・ユア・マインド(あなたの心に)(In Your Mind)」(1977年)も手がけた、オーストラリア出身の写真家らしいモンティ・コールズ(Monty Coles)によるもの。
デザインにうるさいテイ・トウワ(TOWA TEI)にも、「Last Century Modern」(1999年)のリミックス集「Lost Control Mix」(2000年)(左写真)で、パスティーシュされています。
「恋の自己顕示(Propaganda)」ですが、前後作と比べ、1980年前後はかなり入手の難しいレア盤だった記憶があり、私が耳にしたのはだいぶ後年だった記憶があります。
サウンドはちょうど、前作「キモノ・マイ・ハウス(Kimono My House)」(1974年)と「スパーク・ショー+3(INDISCREET)」(1975年)との中間という感じで、これもなかなかの好アルバム。
You Tube上の、レディオヘッド(Radiohead)作品で知られるナイジェル・ゴドリッチ(Nigel Godrich)プロデュースらしいSkyTV「From the Basement」(2008年12月)出演時の、1曲目「プロパガンダ(Propaganda)、2曲目「時は流れ、気分は変わる(At Home at Work at Play)」のライヴ映像。
http://www.youtube.com/watch?v=Mg0ddfCYsrY
いきなりア・カペラのオープニング、その後に続く、オペラチックなハード・ロックは、スパークス(Sparks)の真骨頂。
You Tube上の、4曲目「ベティーとチャーリー(B.C.)」、8曲目「サムシング・フォー・ザ・ガール・ウィズ・エヴリシング(Something for the Girl with Everything)の当時のTV番組出演時らしきライヴ映像。
http://www.youtube.com/watch?v=aoA1oQZyjUI
http://www.youtube.com/watch?v=AnM3Iq977JU
「レコード・コレクターズ 2006年 11月号」の岸野雄一氏によるスパークス(Sparks)へのインタビューによると、リック・ウェイクマン(Rick Wakeman)やキース・エマーソン(Keith Emerson)のアクティヴなキーボードに対するアプローチが好きになれず、最小限の体の動きにしたというのが、ロン・メイル(Ron Mael)の「怖い」パフォーマンスの真相らしい。
アイランド時代の4作品の残りの1作、「ビッグ・ビート+6(Big Beat)」(1976年・再発2009年6月)もこの場を借りてご紹介。
傑作「スパーク・ショー+3(INDISCREET)」(1975年)発表後、アメリカに戻り、プロデューサー:ルパート・ホルムス(Rupert Holmes)、アソシエイト・プロデューサー:ジェフリー・レッサー(Jeffrey Lesser)の「ワイドスクリーン・プロダクション(Widescreen Production)」が関与し製作。
ところが、以前にご紹介した同プロダクション関与の大傑作、セイラー(Sailor)「トラブル(Trouble)」(1975年)のような輝きは残念ながらない、スパークス(Sparks)としては地味な作品。
ただし、2001年の再発では「スパーク・ショー+3(INDISCREET)」のボーナス・トラックだった、マリアンヌ・フェイスフル(Marianne Faithfull)とのデュエットの予定がキャンセルになってしまったらしいザ・ビートルズ (The Beatles)のカバーで、アルバム未収録シングル曲だったボーナス・トラックの「抱きしめたい(I Want To Hold Your Hand)」(1976年)は、スウィート・ソウル風アレンジが珍しい、ルパート・ホルムス(Rupert Holmes)起用が生きる怪作。
ロン・メイル(Ron Mael)の要望だったらしい、著名ファッション写真家リチャード・アヴェドン(Richard Avedon)を起用した、ジャケット写真もやはり素晴らしい。
今回の日本再発盤は、2006年のイギリスでの再発盤を基にしているのですが、近年、欧米でも若いファンが多いらしく、イギリスでの再発盤自体が、リマスタリング、ボーナス・トラック、解説等実に素晴らしい出来。
世界各地で過去の作品が評価されるとともに、今もバリバリの現役で評価の高い新作を発表し続けるスパークス(Sparks)、意外なことにロック・バンドの理想型を歩んでいるのかもしれませんね。
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