「困っている会社は助けてあげなければかわいそうじゃないか」。「加藤哲夫先生の還暦をお祝いする会」
■会社更生法ゼミ
私が在学当時は、確かゼミはくじ引き制で良い番号札を引いたものから順に好きなゼミが選べるという仕組みで、音楽バカだった私は、蛍法会にいた友人に「お前のくじ番号でも入れる穴場的ゼミ」として、マイナーな科目である会社更生法でありながら、当時若手助教授で人望が厚かった加藤哲夫先生のゼミを勧められて入りました(加藤先生ごめんなさい)。
■卒業後の「哲門会」への参加
卒業後は、会社更生法などとは縁遠い日々を送っておりましたが、「哲門会」という会社更生法ゼミの卒業生の集まりにはたまに顔を出していました。
その後、紆余曲折の末、独立して公認会計士・税理士の事務所を開業したところ、倒産法関係の仕事が非常に多くなり、「哲門会」にも極力毎回参加させていただき、機会があれば加藤先生に倒産実務につきお話しをうかがうようにしてきました。
■「倒産処理法制の理論と実務」
そうこうするうちに、2006年には、加藤哲夫先生が、師である櫻井孝一早稲田大学名誉教授と西口元裁判官と共同で編集された「倒産処理法制の理論と実務」で、「各倒産手続の開始と財産評価」という項目を執筆させていただく機会をいただきました。
本書に関しては、見開きの4ページで、会社更生、民事再生、破産の各倒産手続の開始決定後の財産評価につき、法務・会計・税務の各側面からまとめるという「お題」への対応がまず大変でした。
さらに、最初は破産法の改正まで織り込めばよかったはずだったのが、出版日が何回も延期となるうちに、平成17年(2005年)には企業再生税制の大改正があり、平成18年(2006年)には会社法が施行され、何度も何度も書きなおすことになり、良い修行になりました。
出版後に、「哲門会」で、加藤哲夫先生にお会いした際に、当然にリップ・サービスに決まっていますが、「面白かった」と言っていただき、嬉しかったことを今でも覚えております。
■「困っている会社は助けてあげなければかわいそうじゃないか」
だいぶ以前の「哲門会」で、「昔加藤先生から『会社更生法には愛がある』って教わりました。」と私の同期がいったところ、「だって困っている会社は助けてあげなきゃかわいそうじゃないか。」と加藤先生がおっしゃっていました。
実は、『会社更生法には愛がある』という教えについては、申し訳ありませんが私は全く覚えていません。
また、私自身、生意気にも、事業再生の経済合理性が重要であり、愛だけでは会社は救えないのではないかとも考えていた時代もありました。
しかし、年を重ね、経験を重ねるとともに、「困っている会社は助けてあげなければかわいそうじゃないか」という、素朴な愛の精神こそが重要だなと思えてくる今日この頃であります。
加藤哲夫先生は、学者、大学の役職、その他公職に八面六臂のご活躍であり、事業再生の実務においても事業再生実務家協会理事として「事業再生ADR」の立ち上げにも関与されており、その「スーパー・マン」ぶりには驚くばかりです。
私も事業再生の現場から、加藤哲夫先生が還暦を迎えられたことを心よりお慶びするとともに、今後のさらなる活躍をお祈りしたいと思います。
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コメント
Sugai大兄
ゼミ同期の松尾です。ご無沙汰してます。 ご活躍の様子で何よりです。 渡米6年になります。 加藤先生の還暦のパーティの様子が貴ブログで伺えてうれしかったです。 小生の勤務する会社が破産法11条を申請、再建にかかって4年になります。 現場での感想は「破産法11条の根底には愛など無く、エゴと欲望ばかり」です。 既にホワイトカラーの3割が辞めさせられ、当方の首元もひんやりの状態が続きながらも、何とかしがみついてます。 また、たまに貴ブログに寄せてもらいます。 では。
投稿: Hoosier | 2009年9月19日 (土) 00時57分
Hoosierさん、お久しぶりです。
コメント、ありがとうございます。
加藤先生の還暦のパーティでお会いできなくて残念でした。
「会社更生法には愛がある。」と教わったとおっしゃっていたのは確か貴殿でしたね。
再建の現場、しかも異国の地でのご苦労、それは大変なことではないかとお察しいたします。
独り言のようなブログで恐縮ではありますが、ご訪問をお待ちしております。
投稿: Accounting&Music | 2009年9月19日 (土) 01時10分