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細野晴臣&アン・サリー(Ann Sally)の美しい音楽を聴きながら考える「金融」と「資本主義」No.3。NHKスペシャル シリーズ マネー資本主義第3回「年金マネーの“熱狂”はなぜ起きたのか」

 今のところ私が見ている唯一のTV番組が、100年に一度とも言われる金融危機を生んだ、マネー資本主義は、どのように発生し、成長したのか、その誤謬の実態を解明し、未来に向けた教訓は何かを探っていくという、NHKスペシャル「シリーズ マネー資本主義」。

 第3回「年金マネーの“熱狂”はなぜ起きたのか」も、第2回にに引き続き興味深く拝見させていただきました。

■我が国の年金基金とヘッジ・ファンド

 番組は、リーマン・ショックにより資産の1/5が失われたという全国中央市場青果卸売厚生年金基金を取材。

 一番痛かったのが、ヘッジ・ファンドへの投資とのこと。

 日本の年金は昔は国債等に運用されて運用益をそれでも十分な運用益を得ていたが、給付金が増加して資金が逼迫、掛け金を減らすか、給付を減らすかという選択を迫られ、株式投資→ヘッジ・ファンドへの投資と運用を多様化。

■カルパース(CalPERS 米カリフォルニア州職員退職年金基金)

 昔は、国債等のリスクの低い投資のみを行っていた年金基金が、リスクをとっても高い利回りを得ようと株などへの投資に乗り出したのは、1984年に住民投票の末、運用制限を撤廃する法律ができ、株への投資を可能にした世界最大の公的年金基金、カルパース(CalPERS:The California Public Employees' Retirement System 米カリフォルニア州職員退職年金基金)が最初。

 ウォール街の後押しもあり、先進国の経済成長が鈍化する中、常識を打ち破らなければ明日はないと、激しい議論の末、積極投資戦略への転換に踏み出し、その後、世界中の年金基金も追随。

 2000年のITバブル崩壊後、カルパース(CalPERS)は、ヘッジファンドの投資に乗り出し成功、その後、世界中の年金基金もこれまた追随。

 しかしながら、今回の金融危機により、カルパース(CalPERS)を始め、日本を含む世界中の年金基金が大きな打撃を受けたとのこと。

■この番組を見て感じたこと

 ヘッジ・ファンド(Hedge Fund)についての説明が、運用方法が明かされないハイリスク・ハイリターンの投資といういかにも「怪しげな投資」という印象を与え(確かにそういう側面がありますが)、金融技術を駆使していかなる環境下でもプラスの運用実績を目指す「絶対的収益の追求」といういわばリスク・ヘッジ的な利用方法があることの説明がなく、少々不十分な印象も。

 100年に一度とも言われる金融危機に見舞われ、世の中全体の資本主義市場経済に対する反動にはものすごいものを感じますが、今日の豊かな世界の経済状況を生み出したのが資本主義市場経済であることも紛れもない事実。

 年金基金も昔のように国債投資中心に戻ることはもはや不可能であり、カルパース(CalPERS)も新たなヘッジ・ファンド投資を模索し、全国中央市場青果卸売厚生年金基金の担当者も今でも年金運用コンサルタントを訪ね、ヘッジ・ファンドも破産企業へ投資するファンドなど新たな商品の開発に注力しているのが現実。

 今回の金融危機の手痛い教訓を活かしつつ、前に進んで行くしかないように思われます。

 

 


 

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