平成21年(2009年)税制改正でこうなるNo.15。耐震改修工事に関する所得税額の特別控除の延長・拡大・改正(個人)
前回に引き続き、平成21年(2009年)税制改正によりどこがどう変わったのか概要を確認して行く「平成21年(2009年)税制改正でこうなる」シリーズの第15回。
今回は、いわゆる耐震基準を満たさない住宅の自発的な耐震改修の効果的な促進による災害に強い国づくりの推進と住宅投資の促進の観点からの改正項目、耐震改修工事に関する所得税額の特別控除の延長・拡大・改正(個人)についてです。
■耐震改修工事に関する所得税額の特別控除の延長・拡大・改正の概要
平成18年度税制改正で創設された、耐震改修工事に関する所得税額の特別控除の適用期限が、平成20年12月31日から平成25年12月31日まで5年間延長され、制度も拡大・改正されました。
【平成18年度税制改正で創設された耐震改修工事に関する所得税額の特別控除の概要】
居住者が、平成18年4月1日から平成20年12月31日までの間に、
一定の区域内において、
その者の居住の用に供する
家屋(昭和56年5月31日以前に建築された家屋で一定のもの)の
建築基準法に基づく現行の耐震基準(昭和56年6月1日施行)に適合させるための耐震改修をした場合には、
その者のその年分の所得税の額から、
当該住宅耐震改修に要した費用の額の10%相当額
(当該金額が20万円を超える場合には20万円とし、100円未満の端数があるときはこれを切り捨てる。)
を控除します。
「一定の区域」とは次に掲げる計画に定められた区域をいいます。
①地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法の地域住宅計画(住宅耐震改修のための一定の事業を定めたものに限る。)
②建築物の耐震改修の促進に関する法律の耐震改修促進計画(住宅耐震改修のための一定の事業を定めたものに限る。)
③住宅耐震改修促進計画(地方公共団体が地域の安全を確保する見地から独自に定める計画で、昭和56年5月31日以前に建築された住宅につき、住宅耐震改修のための一定の事業を定めたものをいう。)
確定申告書に、当該控除に関する明細書並びに地方公共団体の長の当該一定の区域内の家屋である旨、当該住宅耐震改修をした家屋である旨及び当該住宅耐震改修の費用の額を記載した書類等の添付がある場合に適用します。
一般の住宅ローン控除(住宅ローン減税)との重複適用が可能です。
【適用期限の延長】
平成20年12月31日から平成25年12月31日まで5年間延長されました。
【適用対象区域の拡大】
地方公共団体が作成する耐震改修計画において、補助対象が耐震診断のみの場合も含めるほか、補助金額の下限要件を撤廃することにより、適用対象区域が拡大されました。
【税額控除の対象となる金額の改正】
住宅耐震改修に要した費用の額と当該住宅耐震改修に係る標準的な工事費用相当額のいずれか少ない金額とされました。
「標準的な工事費用相当額」とは、住宅耐震改修工事の種類ごとに単位当たりの標準的な工事費用の額として定められた金額に当該住宅耐震改修工事を行った床面積等を乗じて計算した金額をいいます。
【住宅耐震改修工事の証明に関する改正】
地方公共団体の長、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録住宅性能評価機関、建築基準法に基づく指定確認検査機関又は建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士が行うものとされました。
【改正の適用時期】
上記の拡大・改正は、平成21年1月1日以後に行う住宅耐震改修について適用されます。
【上記から感じること】
今までご紹介した、住宅ローン控除(住宅ローン減税)の延長・拡大、認定長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除の創設、省エネ改修工事に関する住宅ローン控除の延長及び所得税額の特別控除の創設、バリアフリー改修工事に関する住宅ローン控除の延長及び所得税額の特別控除の創設もそうですが、住宅ローンの有る無しにかかわらず、個人住宅投資に関する減税措置が増えてきています。
一生のうちにそう何度もない大きな買い物である個人住宅投資、納税者の方も、私ども税理士も、適用漏れ、選択誤りには十分に注意したいものです。
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