平成21年(2009年)税制改正でこうなるNo.14。バリアフリー改修工事に関する住宅ローン控除の延長及び所得税額の特別控除の創設(個人)
前回に引き続き、平成21年(2009年)税制改正によりどこがどう変わったのか概要を確認して行く「平成21年(2009年)税制改正でこうなる」シリーズの第14回。
今回は、長寿化社会におけるバリアフリー改修の支援と住宅投資の促進の観点からの改正項目、バリアフリー改修工事に関する住宅ローン控除の延長及び所得税額の特別控除の創設(個人)についてです。
■バリアフリー改修工事に関する住宅ローン控除(住宅ローン減税)の延長の概要
平成19年度税制改正で創設された、バリアフリー改修工事に関する住宅ローン控除住宅ローン減税)の適用期限が、平成20年12月31日から平成25年12月31日まで5年間延長されました。
【延長されたバリアフリー改修工事に関する住宅ローン控除(住宅ローン減税)の概要】
一定の居住者が、
その者の居住の用に供する家屋について
一定のバリアフリー改修工事等を行った場合において、
当該家屋を平成19年4月1日から平成25年12月31日までの間に
その者の居住の用に供したときは、
一定の要件の下で、
そのバリアフリー改修工事等に充てるために借り入れた
住宅借入金等の年末残高1,000万円以下の部分について
イ 一定のバリアフリー改修工事に係る工事費用相当部分(200万円を限度)・・・2%
ロ イの「一定のバリアフリー改修工事に係る工事費用相当部分(200万円を限度)」以外の工事費用相当部分・・・1%
の割合で所得税額を控除し、
一般の住宅ローン控除(住宅ローン減税)との選択適用です。
【一定の居住者とは】
次のいずれかに該当する者です。
①50歳以上の者
②介護保険法の要介護又は要支援の認定を受けている者
③障害者である者
④居住者の親族のうち上記②若しくは③に該当する者又は65歳以上の者のいずれかと同居している者
【一定のバリアフリー改修工事とは】
次に該当する工事で、その工事費用(補助金等をもって充てる部分を除く。)の合計額が30万円を超えるものいいます。
①廊下の拡幅
②階段の勾配の緩和
③浴室改良
④便所改良
⑤手すりの設置
⑥屋内の段差の解消
⑦引き戸への取替え工事
⑧床表面の滑り止め化
【適用対象となる住宅借入金等の範囲】
償還期間5年以上の一定の住宅借入金等及び死亡時一括償還に係る借入金等です。
【バリアフリー改修工事等の証明書の発行】
住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録性能評価機関、建築基準法に基づく指定確認検査機関又は建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士が行います。
【その他の要件】
一般の住宅の増改築等に係る住宅ローン控除(住宅ローン減税)の要件と同様です。
■バリアフリー改修工事に関する所得税額の特別控除の創設
【概要】
一定の居住者が、
その者の居住の用に供する家屋について
一定のバリアフリー改修工事を行った場合において
当該家屋を平成21年4月1日から平成22年12月31日までの間にその者の居住の用に供したときは、
一定の要件の下で、
当該バリアフリー改修工事の費用の額と
当該バリアフリー改修工事に係る標準的な工事費用相当額の
いずれか少ない金額(200万円を限度)の10%に相当する金額を
その年分の所得税額から控除します。
【一定の居住者、一定のバリアフリー改修工事、バリアフリー改修工事等の証明書の発行】
上記のバリアフリー改修工事に関する住宅ローン控除(住宅ローン減税)の場合と同様です。
【標準的な工事費用相当額】
バリアフリー改修工事の種類ごとに単位当たりの標準的な工事費用の額として定められた金額に当該バリアフリー改修工事を行った床面積等を乗じて計算した金額をいいます。
【適用関係】
平成21年分にこの税額控除の適用を受けた者は、平成22年分においてはその適用を受けることはできませんが、平成22年において要介護状態区分等が3段階以上上昇した場合には適用を受けるが可能です。
その年分の合計所得金額が3,000万円を超える場合には適用されません。
同一年中に前回ご紹介した省エネ改修工事とバリアフリー改修工事を行い、その者の居住の用に供した場合におけるその年分の所得税額控除金額は、20万円(太陽光発電装置を設置する場合は、30万円)を限度に両制度の合計額となります。
また、一般の住宅の増改築等に関する住宅ローン控除(住宅ローン減税)、省エネ改修工事に関する住宅ローン控除(住宅ローン減税)、省エネ改修工事に関する住宅ローン控除(住宅ローン減税)の適用を受ける場合には適用されません。
【手続】
確定申告書に、当該控除に関する明細書、一定のバリアフリー改修工事に該当する旨を証する書類及び登記事項証明書等の一定の書類の添付がある場合に適用されます。
■上記からわかること
先日ご紹介した、住宅ローン控除(住宅ローン減税)の延長・拡大、認定長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除の創設、省エネ改修工事に関する住宅ローン控除の延長及び所得税額の特別控除の創設、もそうですが、住宅ローンの有る無しにかかわらず、個人住宅投資に関する減税措置が増えてきています。
一生のうちにそう何度もない大きな買い物である個人住宅投資、納税者の方も、私ども税理士も、適用漏れ、選択誤りには十分に注意したいものです。
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