作詞家、小西康陽健在。ミズノマリ(Mari Mizuno)「mariage(マリアージュ)」
paris match(パリス・マッチ)のヴォーカリスト、ミズノマリ(Mari Mizuno)のファーストソロミニアルバム「mariage(マリアージュ)」(2009年4月)が発売。
各方面から絶賛を浴びる、ミズノマリ(Mari Mizuno)のクールで透明感のある癒し声に惹かれて、筒美京平、冨田恵一(Tomita Lab)、小西康陽、堀込高樹(KIRINJI)、古内東子、西寺郷太(NONA REEVES)、片寄明人(Great3)、岡野泰也(vividblaze)等の作家陣が集結。
嬉しいのは、その中でも光りまくる、作詞家、小西康陽健在ぶりです。
paris match(パリス・マッチ)は、スタイル・カウンシル(The Style Council)のアルバム「カフェ・ブリュ(Café Bleu)」(1984年)の収録曲「The Paris Match」からバンド名をとったらしい、1998年結成の都会的で垢ぬけたポップ・ミュージックを得意とするミズノマリ(Mari Mizuno) と杉山洋介の2人組ユニット。
http://www.myspace.com/parismatchofficial
当ブログにコメントいただいているMYBさんの音楽サイト、 「Uwatzlla!」でも紹介されていた「Flight 7」(2008年2月)が最新作。
ミズノマリ(Mari Mizuno)は、声が素晴らしいだけでなく抜群に歌が上手いと思うのですが、やはり抜群に高い完成度の杉山洋介のスムーズなサウンドは、私にとっては今ひとつ面白みにかける印象。
ミズノマリ(Mari Mizuno)の声には、元ピチカート・ファイヴ( Pizzicato Five)の小西康陽も注目。
自らアルバムを作ってみたいアーティストを集めたらしい「うたとギター。ピアノ。ことば。~columbia*readymade サンプラー~」(2008年4月)収録、「東京の街に雪が降る日、ふたりの恋は終わった。」で、小西康陽の作詞/作曲/編曲とミズノマリ(Mari Mizuno)のヴォーカルが初顔合わせ。
甲田益也子、長谷川きよし、野本かりあ、bice等多くのアーティストが参加した本盤のベスト・トラックだと思います。
小西康陽曰く「作曲家の創作意欲をかき立てる声」、ミズノマリ(Mari Mizuno)の声を前にして、「mariage(マリアージュ)」(2009年4月)では、名うての作家陣の腕の競い合いの様相。
1曲目「春の嵐」は、キリンジ(KIRINJI)兄堀込高樹の作詞/作曲/編曲、2曲目「恋をする」は作詞:古内東子・作曲:筒美京平・編曲:冨田恵一(Tomita Lab)の強力トリオ、3曲目「悲しいことじゃない」は作詞:片寄明人(Great3)・作曲:西寺郷太(NONA REEVES)・編曲:NONA REEVES、4曲目「ピンクの吐息」は作詞・ミズノマリ・作曲/編曲:岡野泰也(vividblaze)、5曲目「気絶するほど、ラグジュアリー」は作詞:Chocolat & Akito(ショコラ&アキト)・作曲:谷口尚久/西寺郷太・編曲:NONA REEVES、6曲目「Welcome!」は作詞:ミズノマリ・作曲/編曲:岡野泰也、そして7曲目「 結婚しようよ。」が作詞/作曲/編曲:小西康陽。
You Tube上の2曲目「恋をする」のライヴ映像。
http://www.youtube.com/watch?v=bEHLj0GSTO4
冨田恵一(Tomita Lab)の「Everything(エヴリシング)」(2000年)節、炸裂です。
「mariage(マリアージュ)」ですが、どの楽曲も素晴らしいのですが、私が嬉しかったのは何といっても、「 結婚しようよ。」の小西康陽の歌詞。
「音楽とことば あの人はどうやって歌詞をかいているのか」(2009年3月)という抜群に面白い歌詞についてのインタビュー集が最近発刊され、江森丈晃氏による小西康陽へのインタビューも収録されています。
そこで、印象に残ったのは、「耳だけで聴き取れる言葉」、「音楽として聴かれるための歌詞」、「アレンジと作詞が、凄く密接」というキー・ワード。
「 結婚しようよ。」では、それらのキー・ワードに表わされる小西康陽の「言葉」の素晴らしさに酔いしれることができます。
ここで、私の大発見は、「耳だけで聴き取れる言葉」、「音楽として聴かれるための歌詞」、「アレンジと作詞が、凄く密接」というキー・ワードは、パフューム(Perfume)での中田ヤスタカにピッタリと当てはまるということ。
実は、サウンドやビジュアルではなく、「作詞」、というより「音楽における言葉の使い方」こそが、小西康陽と中田ヤスタカの共通点だと思います。
最近は、だいぶ私から遠いところに行ってしまった印象のある小西康陽ですが、作詞家としての健在ぶり、大変嬉しく思います。
| 固定リンク
« 細野晴臣&アン・サリー(Ann Sally)の美しい音楽を聴きながら考える「金融」と「資本主義」No.2。NHKスペシャル シリーズ マネー資本主義第2回「“超金余り”はなぜ起きたのか?~カリスマ指導者たちの誤算~」 | トップページ | 素材によって工夫をこらした揚げ方を楽しむ、至福のひととき。「てんぷら深町」(京橋) »
「音楽等(やや通向)」カテゴリの記事
- アカウンティング&ミュージック 2023年邦楽ベスト3。第3位:大貫妙子(Taeko Onuki)「Taeko Onuki Concert 2022(タエコ・オオヌキ・コンサート 2022)」(2024.01.03)
- アカウンティング&ミュージック 2023年邦楽ベスト3。第2位:くるり(Quruli)「感覚は道標(Driven By Impulse)」(2024.01.03)
- アカウンティング&ミュージック 2023年邦楽ベスト3。第1位:椎名林檎(Ringo Sheena)「椎名林檎と彼奴等と知る諸行無常(Sheena Ringo & The Others Know:Impermanence)」(2024.01.03)
- アカウンティング&ミュージック 2023年洋楽ベスト3。第3位:ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)「i/o (アイ/オー)」(2024.01.03)
- アカウンティング&ミュージック 2023年洋楽ベスト3。第2位:スフィアン・スティーヴンス(Sufjan Stevens)「Javelin (ジャヴェリン)」(2024.01.03)
コメント
私としては想定の範囲内の仕上がりでしたので、uwatzlla! でのエントリーはパスしました。一方で、菅井さんはparis matchがいまひとつと言われる。人の目線の違いって面白いですね。
いや、単に私がparis matchをあくまで耳の快楽の安定供給源と捉えていて、ポップスとしてのクリエイティビティをあまり気にしてない(てか、よくわからない)だけともいえますが。
投稿: MYB | 2009年5月19日 (火) 02時29分
MYBさん、コメントありがとうございます。
「想定の範囲内の仕上がり」、正にこの作家陣ならではの典型的な作品が多いですね。
最も得意な技で勝負したくなる、そうさせるのがミズノマリ(Mari Mizuno)の声の力かと。
アン・サリーのゴンザレス鈴木にも言えますが、paris matchの杉山洋介のサウンド、すごい完成度だと思うけれども、「コダワリ」が生みだす快楽という点でmariageに馳せ参じた作家陣のサウンドに魅力を感じてしまう私なのです。
投稿: Accounting&Music | 2009年5月20日 (水) 01時29分