抜群に面白い、1982年から現在にかけての東京ストリート・カルチャー史。「丘の上のパンク -時代をエディットする男、藤原ヒロシ半生記(TINY PUNK ON THE HILLS AN ORAL BIOGRAPHY OF HIROSHI FUJIWARA)」
・プラスティックス(Plastics)の中西俊夫&佐藤チカの傍にいるロンドン帰りの謎のおしゃれ少年(1980年代初期)
・プレジデントBPMこと近田春夫とともにヒップ・ホップにいち早く飛びついたタイニー・パンクス(Tiny Punks)の片割れ(1980年代中期)
・小泉今日子「No17」のDJ出身プロデューサー(1990年代初頭)
・裏原宿で大成功したストリート・ウェアのカリスマ(1990年代中期)
・びっくりしましたエリック・クラプトン(Eric Clapton)とのマブダチ関係(2000年代初期)
・競技用自転車ピスト(Pist)遊びを流行らせている人(2000年代中期)
・曽我部恵一とデュオを組んだりしているフォーク・シンガー(最近)
1982年から現在にかけての音楽を中心にした東京ポップ・カルチャーを見続けてきた私にとって、藤原ヒロシは「違う世界の人」という印象ながらいつも気になる謎の存在。
そんな藤原ヒロシの謎を解き明かしてくれるのが、私にPerfume(パフューム)を教えてくれた、尊敬すべきポップ・カルチャー水先案内人、川勝正幸氏が5年近くの歳月をかけて書きあげた、川勝正幸(著)・藤原ヒロシ(監修)「丘の上のパンク -時代をエディットする男、藤原ヒロシ半生記(TINY PUNK ON THE HILLS AN ORAL BIOGRAPHY OF HIROSHI FUJIWARA)」(2009年2月)。
藤原ヒロシの人物像だけでなく、川勝正幸氏の確かな目利き力に裏打ちされた1982年から現在にかけての東京ストリート・カルチャー史、抜群の面白さです。
藤原ヒロシは、1964年三重県伊勢市生まれのミュージシャン、音楽プロデューサー、ファッション・リーダー。
1982年から現在にかけて、20年以上もストリート・カルチャーの最先端を歩み続け、エリック・クラプトン(Eric Clapton)と交遊し、ナイキ(Nike)社と非アスリートながらコンサルタント契約を結び、渋谷松濤に自宅、六本木ヒルズにスタジオを持つ、今や世界的なセレブと言っても良いカリスマ。
1980年代初頭から、藤原ヒロシは気になる存在でしたが、どちらかというと「音楽の世界の人」というより「ファッションの世界の人」という印象。
ずいぶんと藤原ヒロシの音楽家として関与したCDも買ってきましたが、大変申し訳ありませんが、「よくわからない」というのが正直な感想。
小泉今日子「No17」(1990年)は良いアルバムだと思いますが、屋敷豪太(GOTA)のリズム・トラックの功績によるところが大きいように感じられますし、他にも朝本浩文やDUB MASTER X等の手を組む優秀なサウンド・クリエイターの方についつい関心が行きがちに。
もっとも、優秀なサウンド・クリエイターを周囲に引き寄せる力が、藤原ヒロシの音楽家としての才能かもしれませんが。
本書は、英題のとおり、関係者の証言をもとに人物像を探るオーラル・バイオグラフィ(ORAL BIOGRAPHY)という手法を用いて書かれていますが、藤原ヒロシの成功の秘訣については、どこか上品にできているヤンキーっぽさにすごく共有感覚があり団塊ジュニアにリスペクトされる理由ではないかというカメラマン小暮徹氏の証言が言い得て妙。
私は、年上から可愛がられ、年下からは慕われる、マスメディアからはわかりづらい懐の深い人間性と、新しいもの、面白いものを発見してくる人並み外れたセンスの持続性に、藤原ヒロシの成功の秘訣があると読みましたがいかがでしょうか。
ところで、冒頭にも書いたように、本書は、川勝正幸氏の確かな目利き力に裏打ちされた、豊富な資料がふんだんに織り込まれた1982年から現在にかけての東京ストリート・カルチャー史として読んでも抜群に面白い。
特に、私が同時代で追い切れていなかった1990年代中期の裏原宿時代のあたりの話は、大変興味深く読ませていただきました。
川勝正幸氏の次回作におおいに期待したいとともに、藤原ヒロシ、これからもますます気になる存在になりそうです。
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