TMK(特定目的会社)の法律実務にフォーカスしたユニークな専門的Q&A書。土屋年彦(編著)、小山修司(著)、稲田森(著)、高橋淳(著)「TMK(特定目的会社)の法律実務Q&A」
不動産証券化に携わっている方ならご存知かと思われますが、TMKとは資産の流動化に関する法律(資産流動化法)に基づく特定目的会社のローマ字表記(Tokuteimokutekigaisha)の略号。
SPCが、TMK(特定目的会社)だけでなく匿名組合を利用した合同会社(GK)等の総称である特別目的会社(Special Purpose Company)の略号として用いることから、我が国の不動産証券化業界の符牒(合言葉)として定着。
私も初めて知った時は面白いと感心し、符牒としてついつい使ってしまう「TMK」の法律実務にフォーカスしたユニークな専門的Q&A書が、土屋年彦弁護士(編著)、小山修司弁護士(著)、稲田森弁護士(著)、高橋淳弁護士(著)による「TMK(特定目的会社)の法律実務Q&A」(2009年3月)です。
■本書から感じること
「TMK」の専門書と言えば、以前に当ブログでもご紹介した、長崎幸太郎[編著]/額田雄一郎[改訂] 「逐条解説 資産流動化法」きんざい(2009年1月)が大定番。
土屋年彦弁護士(編著)、小山修司弁護士(著)、稲田森弁護士(著)、高橋淳弁護士(著)「TMK(特定目的会社)の法律実務Q&A」は、わかりやすいQ&A方式であるため、最初にあたりをつけたり、条文解釈に誤りがないか確認したいときの検証用にしたり、前書と併せて利用したい便利な書。
ただし、「TMK(特定目的会社)の法律実務Q&A」ですが、「TMK」の利用に欠かせぬ税務・会計問題についてはノータッチなのが大変残念。
不動産証券化全体を対象とする書籍ですと紙幅が限られ、多くが租税特別措置法に規定され意外に読み方が難しい「TMK」の税務の問題、連結や改正等への対応など刻一刻と変化しつつある「TMK」の会計の問題について、踏み込んだ専門書が不足しているのが現実であり、今後の改訂版では税務・会計の専門家を加えての言及に期待したいところです。
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