素晴らしい完成度の「トリビュート・トゥ・オール・オブ・ザ・ポップ・ミュージック」。クノシンジ(Kunoshinji)「光のアルバム」(M)
前回ご紹介したトクマルシューゴ(Shugo Tokumaru)と対照的に、過去のポップ・ミュージックへのトリビュートを重視したオーソドックスなポップ・ミュージックを追求しているのが、クノシンジ(Kunoshinji)。
クノシンジ(Kunoshinji)のメジャー第1弾アルバム、「光のアルバム」(2009年2月)は、MUSIC MAGAZINE(ミュージック・マガジン)3月号での岡村詩野氏の言い得て妙の言葉を借りるならば、「トリビュート・トゥ・オール・オブ・ザ・ポップ・ミュージック」の快作です。
クノシンジ(Kunoshinji)は、1983年生まれの愛知県出身のシンガー・ソング・ライター。
2004年に、名古屋を拠点に活動する渋谷系インディー・ギターポップ・レーベル「abcdefg*record」より、「オレンジジュース・グレープフルーツジュース(Orange Juice Grapefuruit Juice)」でデビュー。
このアルバムでは、ギター、ベース、キーボード、プログラミングまで全ての楽器を一人でこなしたらしい。
楽曲の完成度は、この頃から高く驚きです。
2005年には、2ndアルバム「フルコース・オブ・ポップソングス(Full Course Of Pop Songs)」を発表。
1曲目は、その名も「ポップソング」。
コーラス・ワークが素晴らしい。
キャッチーなソング・ライティングのセンスは元シネマ(Cinema)の松尾清憲を彷彿とさせます。
そして、元東芝EMI、ファンハウスの創立者として有名な新田和長氏らが2001年に設立した新興メジャー、ドリーミュージック(DREAMUSIC)と契約し、2007年3月にミニ・アルバム「ポータブルポップミュージック」を発表。
グルービジョンズ(Groovisions)のアート・ワークが、クノシンジ(Kunoshinji)の音楽にはピッタリ。
1曲目「ポータブルポップミュージック」は、カフェロン(Cafelon)の石崎光と、ノーナ・リーヴス(NONA REEVES)の奥田健介も加わり、ブライアン・メイ・ギター・サウンドが印象的。
You Tube上の「ポータブルポップミュージック」のプロモーション・ビデオ。
http://www.youtube.com/watch?v=LRgyyaSEClY
クノシンジ(Kunoshinji)、身長152cm、体重44kgという公表値のとおり、かなり小柄です。
2007年6月には、1stシングル「つよがりドライバー」を発表。
グルービジョンズ(Groovisions)のアート・ワークがこれまた素晴らしい。
タイトル曲「つよがりドライバー」は、椎名林檎でおなじみ亀田誠司との共同プロデュース&アレンジ。
亀田誠司の力強いベースが、クノシンジ(Kunoshinji)に好相性。
<クノシンジの痛快ウキウキカヴァー その1>として、TV番組「まんが日本昔話」エンディングテーマ、小林亜星「にんげんっていいな」がカップリングで、まさに「トリビュート・トゥ・オール・オブ・ザ・ポップ・ミュージック」。
2007年9月には、2ndシングル「ロッテンピーチ」を発表。
引き続きグルービジョンズ(Groovisions)のアート・ワーク、タイトル曲「ロッテンピーチ」も、亀田誠司との共同プロデュース&アレンジ。
<クノシンジの痛快ウキウキカヴァー その2>は、クノシンジ(Kunoshinji)が影響を受けたらしいスピッツ(SPITZ)の「初恋クレイジー」。
タイトル曲「ヒカルミライ」も、引き続き亀田誠司との共同プロデュース&アレンジ。
文化放送の北京2008テーマソングだったらしく、ご機嫌なパワー・ポップ。
<クノシンジの痛快ウキウキカヴァー その3>は、浜口倉之助作曲、坂本九「涙くんさよなら」、なかなかやります。
UHFアニメ「キャシャーン sins」の第2期EDテーマなので、このようなジャケット。
「光と影」は、元カーネーション(CARNATION)の棚谷祐一との共同プロデュース&アレンジ。
ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)を彷彿とさせる、美しいバラード。
<クノシンジの痛快ウキウキカヴァー>に代わり、3曲名にはクイーン(Queen)の「ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)のア・カペラ(a cappella)で、クノシンジ(Kunoshinji)のコーラスの実力がよくわかります。
先行配信していたらしいMy Spaceで聴けますのでぜひお試しを。
http://www.myspace.com/kunoshinji
ちなみに、現在は、「崖の上のポニョ」のア・カペラ(a cappella)もアップしていますね。
「光のアルバム」は、ドリーミュージック(DREAMUSIC)契約後の4枚のシングルからの曲に新曲を加えた、この2年間の精力的な活動を集大成したアルバム。
アート・ワークは再びグルービジョンズ(Groovisions)。
カフェロン(Cafelon)の石崎光、元カーネーション(CARNATION)の棚谷祐一、鳥羽修らとの共同プロデュース&アレンジの新曲も、相変わらずの完成度。
最近、ザ・コレクターズ(THE COLLECTORS)の加藤ひさしの活動を見ていてそう思いましたが、新しいサウンドを追わなくとも、追求すればするほどつきない魅力が湧いてくるのがポップ・ミュージック。
売れてほしいとは思いますが、売れなくても加藤ひさしのようにしぶとく頑張ってほしいクノシンジ(Kunoshinji)、応援いたします。
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