投資口の公開買い付け(TOB)が盛り込まれたユニークな再生計画案。J-REIT(上場不動産投資信託)初の倒産で話題を呼んだニューシティ・レジデンス投資法人が再生計画案を提出。
各種報道でも伝えられるとおり、J-REIT(上場不動産投資信託)初の倒産で話題を呼んだニューシティ・レジデンス投資法人が、下記アドレスのプレス・リリースのとおり、再生計画案を、本日(2009年4月7日)、東京地方裁判所へ提出。
http://www.ncrinv.co.jp/ir/topwhats/2009-0407-00001.pdf
当ブロクでも以前にどのような再生計画案になるのか要注目であると触れさせていただきましたが、投資口の公開買い付け(TOB)が盛り込まれたユニークな再生計画案ができあがったようです。
■ニューシティ・レジデンス投資法人の再生計画案の骨子
①入札によりスポンサーに選定されたローンスターグループが60億円で第三者割当増資を引き受け、再生債権等の弁済資金を一部調達。
②投資口の公開買い付け(TOB)を実施し、既存の投資主に投資口売却の機会を提供。
③役員のスポンサーの推薦する弁護士及び公認会計士への交替と資産運用会社のロンスターグループのハドソン・ジャパン株式会社への変更。
④再生債権について約5年間の年1回の分割払いで全額(100%)弁済し、5年以内の再上場を目指す。
■上記から感じること
・民事再生法は会社更生法と異なり株式会社以外でも申立可能
会社更生法は株式会社のみが適用対象ですが、民事再生法は株式会社以外の投資法人のような法人や個人でも適用対象となります。
実務上も、学校法人や会社と同時の連帯保証人のオーナー社長などの申立がよく行われており、幅広い活用が可能です。
今回のニューシティ・レジデンス投資法人での活用にも民事再生法の特徴がよく表れていると言えます。
・投資口の公開買い付け(TOB)が盛り込まれたユニークな再生計画案
以前に触れさせていただいた際には、清算型の再生計画案にならざるを得ないのではないかという的外れな予測をさせていただきましたが、第三者割当増資と投資口の公開買い付け(TOB)で既存の投資主に配慮しつつ経営権掌握→5年間で再生債権弁済→再上場というユニークかつダイナミックな再生計画案が作成されたようです。
よく考えてみると、これはローンスターがゴルフ場を買い集めて、パシフィックゴルフグループインターナショナルホールディングス株式会社を上場させたのと相通ずる得意の手法なのですね。
一般事業会社と比べ、比較的倒産しにくいのではないかという印象があったJ-REIT(上場不動産投資信託)ですが、ニューシティ・レジデンス投資法人の例を見る限り、仮に倒産したとしても再生するのも比較的容易なようです。
・不動産市場底入れへの期待
最近の新興不動産会社の再生案件を見る限り、スポンサー探しが困難を極め、目を覆うようでしたが、ニューシティ・レジデンス投資法人の案件では、日本経済新聞の報道を見ると入札はかなりの激戦だったようです。
なんだかんだ言っても不動産市場の活性化は、景気回復に大きな影響があると言わざるを得ず、これを機会に不動産市場底入れ、期待したいところです。
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